ジョニー・デップとの共通点

 鈴木拡樹は1985年6月4日生まれの双子座だ。占星術では、双子座を「ミュータブルサイン(変容の星座)」と呼ぶ。柔軟でフットワークが軽く、観察眼に秀でた凝り性。変わることを楽しみ、味わい、魅せることのできる特性を宿す。

(ちょっと専門的になるが、占星術では太陽を含め月・金星・火星など10個の天体を読む。鈴木拡樹の場合、核となる天体を含め4つが変容の星座に入る)

 変容力とは、キャラクターに命を宿す力でもある。文字どおり自分とは違う存在になりきる。キャラという器に入り、器の形と色に自身を“嵌(は)める”ことで完全体を創り出す、メタモルフォーゼの能力だ。

 変容力の別の方向性の例として、ジョニー・デップを挙げてみよう。1963年6月9日生まれの彼もまた双子座、変容の星座だ。『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズでジャック・スパロウという魅力的なキャラクターを創り出したのはジョニーの才能であり功績だと、今なら誰もが知っている。

 当初、ディズニー映画(健全で子どもも楽しめるファンタジーランドであることが大前提)にもかかわらず、だらしない酔っ払いみたいなヒーロー造形にディズニーサイドが激怒したことはあまりに有名だ。だがジョニーは意を曲げず、映画は空前の大ヒットとなった。

変わることを楽しんでいる

 鈴木拡樹は「変わることを楽しんでいる」のではないかと私は思う。もちろんファンのため、作品やキャラクターを愛し育ててくれた人たちのため壮絶な努力があるのは間違いない。彼自身の謙虚で礼儀正しい個性がストイックな役者像をイメージさせ、「楽しむ」とは遠く離れたところにいる錯覚を引き起こさせるのもある。

 だが決してそれだけではないのではないか。変容の星座ならではののびやかで飄々(ひょうひょう)とした感覚、旺盛な好奇心と遊び心の織りなす冒険が、あの感動的なまでのキャラクター完全再現の一助となっているのではないかだろうか。

 次の鈴木拡樹の舞台は8月〜9月の『幽☆遊☆白書』。彼が演じる蔵馬のCVは、『エヴァンゲリオン』碇シンジなどの当たり役を持つ緒方恵美だ。中性的な声音は鈴木拡樹の持ち味のひとつ。佇まいは言うに及ばず、声までも完全再現された納得の舞台を見せてくれるに違いない。チケット争奪戦は激化し、数多のファンがひしめく2.5次元村をその裾野まで焼き尽くすだろう。

 鈴木拡樹の鮮やかな変容マジックから目が離せない。

※記事の内容を一部修正して更新しました(2019年6月30日16時55分)


阿雅佐●占星術研究家・心理ナビゲーター。西洋占星術、血液型占い、タロットカードなど、古今東西の占いに精通。『CanCam』『PASH!』『anan』『JUNON』ほか年間100本以上の雑誌記事・Webコンテンツを執筆する恋占いのエキスパート。今までに鑑定した人数はのべ1万人に及ぶ。『スッキリ』『アッコにおまかせ』ほか、テレビ出演多数。『おそ松さん占い』(主婦と生活社)ほか、約40冊の著書があり、小説『魔女たちの占いゲーム』(イースト・プレス)、『モデル マジック』(学研教育出版)を上梓(じょうし)するなど、作家としても活動している。
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