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 昨年末から今春にかけ、風疹やはしかの感染者数が増え続けている。来年の東京五輪を控え、政府も感染症対策の強化を推進するという。過去には2016年のリオデジャネイロ五輪ではジカ熱が懸念され、昨年の平昌冬季大会ではノロウイルスの感染が広がった。

 現在、日本はさまざまな感染症の危機にさらされているが、中でも蚊やダニが媒介する感染症は、地球温暖化というものに影響され増加するおそれがあるとの指摘がある。温暖化により、それらのすみかとなる環境、動物の分布域が変わってきていることに起因しているのだ──。

猛暑日が確実に増えていく

「昨年の夏は猛暑であったことが記憶に新しいと思いますが、昨年、埼玉の熊谷で41・1℃という歴代1位の記録を出しました。個々のケースで高温になった理由を科学的に立証するのは難しいのですが、高温化する大きな原因のひとつに地球温暖化があります」

 こう話すのは、地球温暖化などを研究する専門家の向井人史さん。このような温暖化に対し、国際的な対策として2015年にパリ協定が採択された。この協定では、産業革命から世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えることなどを目標としている。

 しかし先日、気象庁気象研究所などの研究チームから、気温上昇が2℃に抑えられても、日本で35℃以上となる猛暑日は現在の1・8倍に増えるという予測結果の発表がなされた。

「体感的に夏は、ほぼ毎日が猛暑日といってもいいかもしれません。年によってばらつきは出るかもしれませんが、確実に猛暑日は増えると予想されています」(向井さん)

 このような気候の変化に伴い、自然環境でもすでに変化が起こってきており、例えば日本周辺のサンゴの分布域が北上しているのが確認されている。向井さんはこう続ける。

「陸上の生物でも温暖化により各種の影響が考えられます。例えばデング熱などを媒介する蚊、ヒトスジシマカは、今世紀末には北海道まで分布が拡大する可能性も指摘されています。また最近、感染症が問題になっているマダニなどについてもそれを媒介する動物の活動圏の拡大がダニの生息域を広げ人への接触の機会を増やす可能性があります」

 平均気温の上昇、病気を媒介する虫や動物の分布域の拡大。海外へ行ったり来日する人々の増加。思い返せば、2014年には東京で70年ぶりとなるデング熱の感染者が発生した。このような感染症のリスクはこれからも増えるのだろうか? 医師で感染症が専門の岩田健太郎さんは、

「日本でデング熱は、一過性で流行するかもしれませんが、次の年には持ち越さないだろうといわれています。異説がありますが、デングウイルスは日本では越冬できずに死滅してしまうだろうと。

 ただ昨今、言われているように温暖化の影響で冬が暖かくなり、熱帯地方のように通年で蚊が存在するという環境になってきたらどうなるか、という懸念はありますが……」