特殊詐欺グループの忘年会で“闇営業”を行った『雨上がり決死隊』の宮迫博之ら、芸人11人に、所属事務所の吉本興業から謹慎処分が下され、処分された芸人全員の謝罪コメントが発表された。

 彼らがこの詐欺グループの宴会に出席していたこと自体は、写真や動画が公開されており、本人たちも認めているところだったが、金銭授受に関しては当初、全員が否定していた。

 しかし、今回の発表で、ギャラを受け取っていたことが明らかになった。

 それにしてもなぜ、宮迫は『FRIDAY』記者の直撃取材を受けたときに、“受け取っていない”と答えてしまったのか。

吉本も“容認”!?

 芸能記者を長年やってきた私の経験から言うと、不意に記者の直撃取材を受けた場合、たいていの芸能人が取る行動は“沈黙”か“否定”のどちらかだ。

 予期せぬ状況で記者が突然現れ、カメラマンがストロボを焚くと、芸能人に関わらず、動揺しない人はいないだろう。とっさのことで、どう答えたらいいか考えがまとまらないうちに、不祥事・悪事の場合は、とりあえず否定してしまう気持ちはわかる。きっと“保身”が頭に浮かんだはずだ。

 このとき宮迫は、何らかの罰を受けるのではないかと考えて「もらっていない」と嘘をついてしまったのだろう。しかし、その嘘は果たして必要だったのだろうか。

吉本はギャラ配分が9:1と言われていて、芸人の取り分が非常に少ない事務所ということもあり、なかなか生活ができない芸人がたくさんいます。なので、吉本もある意味そのような活動を甘くみていた部分もあるのかもしれません。

 だから芸人たちもバラエティー番組などで“事務所を通さない営業”についてネタにしていますし、それが放送されてもいるわけです」(芸能プロ関係者)

 もとから謹慎処分にしようと思っていたのなら、すぐにでも番組出演を見合わせることもできたはずだが、彼らのテレビや劇場の仕事も通常通り続けられていた。つまり、吉本は宮迫やロンドンブーツ1号2号の田村亮ら、稼ぎ頭の芸人を闇営業ひとつで謹慎させようとは思っていなかった、とも考えられる。

 それは事務所にとっても大きな損失になるからだ。

 今回のケースで宮迫は、はじめから「お金はもらいましたが、彼らが詐欺グループだとは知りませんでした」という答えるのがベストだったのかもしれない。仮に直撃時にはとっさに否定してしまったとしても、翌日にでも「あのときは動揺したから否定してしまった」とすぐに訂正すればよかったのだ。

 嘘をついたために第2弾、第3弾と週刊誌の“追撃報道”が出ることになったというのもあるだろう。過去にいくつもこうした事例があるのに、なぜ考えが及ばなかったのだろうか──。

 もちろん反社会的勢力からの金銭授受が許されるものではない。今回は“初期消火”が失敗するとさらに大火事になり、鎮火に時間がかかる顕著なケースだろう。

<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌などで取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。