「どういう経緯で離婚・再婚したかはわかりませんが、幸江さんは、“主人が取り返される”と、ヘルパーに漏らしていたらしいです。

 施設に入る話になると、“私と別れさせて、施設に放り込むのか”と入居を拒否するような態度になる。経済的にはグループホームに入ることも可能なはずだが、“まだ大丈夫。2人でいけるから”と幸江さんに言いくるめられている様子だった」(同・地元関係者)

 冒頭のように“まずい、まずい”と危機感を持っていた宇留江容疑者は、ヘルパーなどの助言に耳を傾けていたが、幸江さんは異を唱えていた。

 生き延びる道を模索する中、幸江さんの反発によって打開策を見いだせず、肉体的にも精神的にも衰弱していった宇留江容疑者。前出・同じマンションの住人は、

「2~3年前にご主人は仕事を辞めて、身体が不自由になったということで、今まで乗っていた自家用車も売り払ってしまったそうですよ」

 と、短期間で状況が一変。宇留江容疑者自身も健康を失い、不安をため込んでいき、ついには最悪の一手を打つことになってしまったのか。

 前出・地元関係者は、今後の宇留江容疑者の健康問題を次のように危惧する。

「ご主人は、自分のやってしまったことはわかっていて、“殴って動かなくなった”と話しているそうです。彼自身も認知症ぎみで、もし刑務所に入れられたとしても要介護状態にあることは考慮してあげてほしい」

 今回の事件を省みて悩みや苦しみを抱えて生きている高齢者が行き詰まらないために何か手立てはあるのか。前出・海老名市の福祉担当者は、

「市の職員だけでは目が届かない部分があります。地域の力にも期待したい。特に見守り。例えばヘルパーとかお弁当配達、ガスメーターの点検や新聞配達などいろんな人の目が入ることで、ちょっとした異変が見つかるかもしれません」

 地域や隣近所のちょっとした力が、悲劇を予防する。