地方が積極的に報道をする謎

 結局のところ改めて、ジャニーズ事務所が民放テレビ局に圧力をかけていたのかどうか、視聴者の私たちにはきっとわかりません。

 しかし私たちは同時に、彼らの在京キー局でのレギュラー番組(テレビ朝日系『SmaSTATION!!』、フジテレビ系『おじゃMAP!!』、テレビ朝日系『『ぷっ』すま』)が、いずれもジャニーズ事務所独立の直後に最終回を迎えていたことも、テレビを通じた事実として、確かに知っているわけです。

 元SMAPの5人中、3人が継続出演している『パラ駅伝』の放送内容も含めて、2015年から2019年にいたる間の、在京キー局の対応にまったく変化がなかったかといえば、それはさすがに嘘だろうと言わざるを得ません。

「圧力」にしろ「忖度」にしろ、彼らのテレビ出演数激減の分岐点には一体何があったのか、そしてそれは未来にも進んで伝えるべきことなのか。芸能界は“業界の当たり前”を、もう一度、一から問い直すべき時期を迎えているのではないかと感じます。

 そして最後にもうひとつ付け加えておきたいのは、何らかの事情で在京キー局での『パラ駅伝』紹介にかなりバラつきが表れた2018年、その大きな穴を埋めていたのは、東京ではなく地方の各ローカル局であったということです。

『パラ駅伝 in TOKYO 2018』当日~翌日に、新しい地図の出演と絡める形でイベントを紹介していた地方ローカル局の制作番組は、

・『イチオシ!モーニング』(北海道テレビ
・『突撃!ナマイキTV』 (東日本放送)
・『夕方LIVE!キニナル』(東日本放送)
・『ドデスカ!』(名古屋テレビ
・『キャッチ!』(中京テレビ
・『おはようコールABC』(朝日放送)
・『おはよう朝日です』(朝日放送)
・『キャスト』(朝日放送)
・『朝生ワイド す・またん!』(読売テレビ
・『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ
・『ちちんぷいぷい』(毎日放送)
・『バリはやッ!』(福岡放送)
・『アサデス。』(九州朝日放送)
・『今日感テレビ』(RKB毎日放送)

 東京で開催されるパラリンピックのための応援イベントを、なぜ東京のテレビ局よりも地方のテレビ局が積極的に報じていたのか。地方に住む私はその理由を、今でもずっと知りたいと思っています。


乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版しているほか、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181