千葉で借りていた物件もやはり人のほうが怖かった。この物件は薬の過剰摂取で亡くなった人の部屋だった。

「この部屋の正面の一軒家の人がちょっと怖い人だったんです。家の周りにセンサーをとりつけて誰かが通るたびにピピピピピと大きな音が鳴りました。軽いノイローゼになりました。ひょっとしたら前の住人もノイローゼになって薬を飲みすぎたのかもしれません」

心霊スポットで寝てみる

部屋のどこで首つりしたかまでは教えてくれなかった、と松原。自殺した前住人のさまざまな痕跡が残る中、彼は住んでいる
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 しかし、われわれ普通の人にとってみたら人が亡くなった部屋に住むだけで十分怖い。そもそもタニシさんはなぜ事故物件に住むようになったのだろうか?

「最初はテレビ番組の企画でした。2012年ごろは家電芸人などマニアックなトークができる芸人がフィーチャーされるようになった時代でした。それまでテレビのコンテスト番組で結果を残せない10年を過ごしていました。『事故物件住みます芸人』になったほうが活躍できるんじゃないか? と思い至りました」

 その目論見は当たり、自身の経験を書いた『事故物件怪談 恐い間取り』はベストセラーになった。現在も心霊番組や事故物件に関するイベントでは引っ張りだこになっている。また事故物件だけではなく、心霊スポットにも足繁く通っているという。

「心霊スポットを歩くだけではなく、そこで寝るようにしています。事故物件で寝るのに慣れたら、心霊スポットで寝るのにも抵抗なくなりました」

 心霊現象に悩まされることもあったが、それよりも自然のほうが怖かった。

「最も怖かったのは夜中にイノシシと対峙したときですね。1時間ほどにらみ合う形になって動けませんでした。死ぬかと思いました」

 松原タニシさんはこれからも事故物件に住み続け、心霊スポットを回りたいと、語ってくれた。

 どうか健康だけは気をつけて、これからも、とてもコワイ思いをして週刊女性に語ってください!


松原タニシ ◎まつばら・たにし。いわくつきの物件に渡り住み、日常で起こる心霊現象などを検証し、その体験を語っている“事故物件住みます芸人”。著書『異界探訪記 恐い旅』(二見書房刊)が発売中