「日曜の夜は、夜の9時には家にいたいのです」

 千葉在住の謙也さん(41歳、仮名)が、札幌在住の澄江さん(38歳、仮名)とお見合い後、交際に入りました。遠距離でしたが、2人の距離を縮めるには頻繁に会うことが大事。謙也さんは、毎週末、飛行機に乗って札幌に行き、澄江さんとデートを重ねていました。

 お付き合いに入って1か月後、今度は澄江さんが千葉に遊びに来ることになりました。謙也さんは、張り切って飛行機の往復チケットと澄江さんが滞在するためのホテルを取りました。

 喜んでもらおうとそのことを告げると、澄江さん喜ぶどころか怒りだしたのです。

「帰りの到着時間が、札幌21時着になっているけれど、どうしてそんな遅い時間にしたんですか? 私、翌日は会社ですよ。前にもお伝えしましたよね。私は休みの日にどこに出かけても、翌日が会社の場合は、21時までには必ず家に帰ると決めているんです。本当に自分勝手な人ですね」

 あまりの剣幕に、謙也さんはシュンとしてしまいました。「僕の配慮が足りなかったんです」と連絡をしてきたのですが、私はこの話を聞いて、謙也さんが気の毒になりました。

 飛行機代もホテル代もお金を出すのは、謙也さん。男性に散財をさせているのですから、まずは感謝の言葉を伝えるのが先のはずです。

「チケットとホテルを取ってくださってありがとうございます」

 そのうえで、「翌日、会社があって朝が早いし、できたら帰りの時間を早めたいのだけれど、チケットの変更はできますか?」と言うのが筋ではないでしょうか? 

 独身でひとり暮らしをしていると、1日24時間を管理するのは自分です。休みの日は、好きな計画を立て、思いどおりに時間を使うことができます。しかし、結婚という共同生活に入ったら、自分が多少無理をしても、相手に時間を合わせたり、相手のために時間を使ったりすることが出てきます。

 自分ルールを押しつけたり、自分のメジャーで相手を推し測ったり、そこで良しあしを決めていたりたら、永遠に人との共同生活はできません。

 頑固にならず、柔軟に考え、相手を受け入れる器を大きく持つことが結婚には大切なんですよ。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/