教師による教師いじめ

 教員の劣化が招いたとはいいきれないが、2016年には同校の高等部1年生が、校内で刃渡り10センチの折りたたみナイフで、生徒や教員を切りつける刃傷事件を起こし逮捕されたことがあった。

 昨年秋には、教員が教員に向かって陰湿な暴言を吐くいじめも起きていたという。

「20代後半の教員がB型肝炎に感染しました。治療のため1か月弱入院をしました。復職したその教員に向かい、一部の教員が『うつる!来るな!』などと発言をしていました」(前出・教頭)

 B型肝炎に対する正確な知識を学ぼうともせず、偏見と悪意に満ちた言葉によって病気と向き合う患者を差別し貶める、最低・最悪の暴言。それが教育者の口から発せられたというのだから、開いた口がふさがらない。

『うつる!来るな!』発言は、被害者が学校側に相談したことで明るみに出たが、教員や学校からの暴言や嫌がらせを受けた生徒はどこに相談すればいいのか。

 その解決になる可能性を秘めたニュースが今年7月、新聞やテレビで伝えられた。

 発信者は、早稲田大学2年の佐藤悠司さん。“スクールハラスメント”に苦しむ生徒が駆け込める公的相談窓口の設置を求めることを会見で提案し、ネット上で署名を呼び掛けたのだ。署名は8月17日で締め切りになったが、今も賛同を表明することはできる。

「お前はクズだ!」と罵られた生徒の記憶から、生涯その言葉は消えない。当該教員の暴言は、その生徒の一部分を、確実に傷つけたのだ。

 あってはならないそのようなことが名門の私立で、俳優の北大路欣也(76)や香川照之(53)、賀来賢人(30)といった芸能人をはじめさまざまな業界に人材を輩出している暁星で起きた。

「今後とも人を大切にする学校として恥ずかしくないように、一層努めて参ります」

 そう教頭は誓うが、暁星が建学の精神を取り戻す日が来るのだろうか。