「軽くウォーミングアップです」

 先日、洋子さん(45歳、仮名)が、達也さん(45歳、仮名)とお見合いをしました。2人とも私の会員で入会したばかり。同い年だし、きっといいご縁になるのではないかと、私は思っていました。

 ところが、お見合を終えて、洋子さんから、『今回のお見合いはお断りでお願いします』とLINEが入ってきました。お見合いがスタートしたのが14時、お断りが入ってきたのが15時。お見合い後すぐのお断りは、不愉快な思いをしたときです。いったい何があったのだろうと電話を入れました。

 すると、洋子さんが言いました。

「私が、『これまでお見合い以外の婚活をしたことはあるんですか?』とお聞きしたんですね。そうしたら、『仕事ばかりしてきて、お恥ずかしながらこの年になってしまいました。婚活は生まれて初めてするんですよ』とおっしゃったんです。そこまではよかったんですよ。その次に何を言うかと思ったら、『これが生まれて初めてのお見合いなので、まあ軽くウォーミングアップのつもりで今日は来ました』と。じゃあ、私は練習台ですか?」

 ああ、なんたる失言! 私は洋子さんの電話を切ったあとに、すぐに達也さんに電話をしました。

「即行のお断りが来たわよ」と私が言うと、「僕、何かやらかしましたか?」と、とても不安そうに聞いてきたので、「軽くウォーミングアップと言ったでしょう?」と言うと、「えっ!?」と一瞬沈黙したあと、力ない声で続けました。

「僕、そんなこと言ってしまったのか? あ、言ったかもしれません」

 無意識のうちに使った言葉なのでしょうが、それが地雷となりました。

「恋愛は、とっかえひっかえだったんですね」

「まあ、悪気はなかったと思うのですが」

 お見合いを終えた薫さん(36歳、仮名)が、苦笑いをしながら連絡をしてきました。お付き合いに入っていた自営業の宗太郎さん(41歳、仮名)と、3回目のデートを終えたときのことです。

「食事をしながら、“これまでどんな恋愛をしてきたか”という話になったんです。宗太郎さんは、30代前半のときに、5年くらいお付き合いしていた女性がいたそうです。『でも、僕の仕事が安定をしていなかったので、なかなか結婚が言い出せずにいたら、愛想をつかされてフラレました』と、ご自身の恋愛経験の話をされました」