テニスで壊れた関係はテニスで修繕するしかない

 テニスと距離を置いている間に、現在のご主人とも出会い、子宝にも恵まれた。ところが、次第に「何かが足りない」と感じるようになったと話す。

アジア人初のJr.世界一になった14歳の西村。世界のトッププロの登竜門で優勝し、この年にプロデビューをするが……
すべての写真を見る

「テニスは苦しかったけど15年も続けられました。でも、ほかのことは長続きせず、テニスをしているときのような充実感がなかった。主人から“テニスで壊れた父との関係はテニスで修繕するしかない”とかけられた言葉も復帰の後押しになりましたね」

 約2年のブランクを経て、再びコートに戻ってきた西村選手。まだ23歳。現在の夢は、ママプレーヤーとして、4大大会に出場することだ。

「甘くはない世界だということは、重々承知です。かつてお世話になった人たちに、復帰を報告した際も、“今さら?”って鼻で笑われましたから(笑)。でも、今だからこそできること、目指すものがあるんです!」

 子どもを産み、育てているからこそ、理解できなかった父の姿に対しても、「少しだけだけど感謝の念を抱けるようになった」と微笑む。

「私のために時間とお金を注いでくれたことは事実です。まぁ、愛情の注ぎ方は間違っていたと思いますけど(笑)。でも、子どもを育てるだけでも大変なのに、好きなことを続けさせてくれたんだから感謝しないといけない。現在、父との関係は良好とは言えません。でも、必ずテニスで結果を残し、変えてみせます

 10月末に開催される全日本選手権の出場権を獲得するなど、“元天才”の看板を返上する準備は着々と進んでいる。

「家族の支えって、本当に大事だなって。今は、主人と子どもと一緒に戦っているイメージ。西村佳奈美として、もう1度、夢の舞台に挑戦します」


《PROFILE》
西村佳奈美(23) ◎アジア人初のJr.世界一になった14歳の西村。世界のトッププロの登竜門で優勝し、この年にプロデビューをするが……