のどかな地域で起きた凄惨な出来事に付近の住民は戸惑うばかり。以前、続発した窃盗事件と結びつける人もいたが、実は親子が没頭していた“娯楽”がきっかけではと……。

「3人とも穏やかで仲睦まじい一家だから、人の恨みを買うようなことはないはず。なぜこんなひどいことに……」

 近隣の住民が口をそろえていぶかしがる高齢夫婦殺傷事件が起きた。15年前に深田恭子が主演して話題になった映画『下妻物語』の舞台である茨城県下妻市にほど近い、田園地帯の結城郡八千代町でのことだ。

のどかな田舎で凶悪事件

 8月24日午前3時15分ごろ、消防署から茨城県警下妻署へ通報があった。直前に無職・大里功さん(享年76)方の次男(42)から、

「犬の鳴き声が異様だったので、母屋に行ってみたら、両親が血だらけで倒れている」

 と救急車を要請する119番通報があったからだった。

 署員が駆けつけると、功さんは寝室で胸などを10数か所刺され搬送先の病院で死亡が確認された。妻で無職の裕子さん(73)も縁側で腹部を複数か所刺されて重傷を負った。

 凶器と見られる出刃包丁はそばで発見されている。犯人は逃走し、茨城県警は捜査本部を下妻署に設置し、殺人と殺人未遂の疑いで行方を追っている。

 大手新聞の社会部記者が次のように明かす。

単独犯で土足のまま上がり、金品をとった形跡がない。“目出し帽をかぶった人がいきなり刺してきた”と裕子さんが親族に語っていますが、何回も刺したのは怨恨の線が強いと思われます。

 何年か前は窃盗が相次ぎ、八千代町内で67件の被害があったといいますが、それとの関連性は低いと思います

 犯人らしき怪しい人物は、約300メートル離れた民家の防犯カメラに映っていた。

深夜2時50分ごろ東側からカメラをのぞき込むように歩いて通り、3時過ぎには東側へ全力疾走しています」(捜査関係者)

規制線が張られた大里さん宅。左の2階建てが、次男が寝ていた離れで、右の平屋が犯行現場
規制線が張られた大里さん宅。左の2階建てが、次男が寝ていた離れで、右の平屋が犯行現場

 東側に逃走した先、1・3kmほど離れたコンビニの防犯カメラにも不審者が映っていた可能性が。同店のゴミ箱には、合羽のような衣類が捨てられていたが、その時間帯は日中だったので、近所のカメラに映っていた不審者のものかどうかは不明だという。

 さらに、現場から4km離れたところには、犯人が出刃包丁や手袋などを購入したと見られているホームセンターも。

 この店にも近くの道路にも、防犯カメラが複数あり、これらの映像の解析が待たれる。

「確かにここらは施錠せずに寝ていますが、それにしても気味が悪い話ですよ」

 と住民らはのどかな田舎で発生した事件に声を震わせる。