生きていてよかったと思う瞬間は

 回数を重ねるごとに“役を生きる”という感覚も。

「だんだん“生の魅力”というものに気づき始めていって。翌年、出演した『ミス・サイゴン』で、自分の中で何かが確実に変わりました。

ソニン 撮影/高梨俊浩

 クライマックスの自害するシーンで、ある日の公演ですべてがうまくいって、“このまま死んでもいいや”って思えたんです。ここ(ミュージカル界)が、私の居場所なんだと気づいた瞬間でもありました

 その後、'12年には芸能活動を休止して、NYへの留学も経験した。

「1年半も日本にいなかったので、存在を忘れられてる可能性もあるなと(笑)。だから、帰国したときは不安もあったし、“NYで(芝居の)勉強してきたんでしょう?”って目で見られているプレッシャーもありました

 何かオーディションに受かってショーにも出れていたらいいんですが、実際は地道に学校に行って、勉強をして、成果も出せないまま毎日のように泣いて。

 でも日本に戻って芝居をしたとき、周りが私の変化に気づいてくれて。その反応を見て、経験はムダではなかったんだなと、そう思えました

 その後も女優として高い評価を受け、菊田一夫演劇賞(演劇賞)、読売演劇大賞(優秀女優賞)など名だたる賞も受賞。

「今でも自信はないですし、悩むこともたくさんあります。お芝居には正解がないので。でも、やっぱり生でお客さんの反応が返ってくるというのはうれしいんです。

 生きていてよかった、とさえ思う。ステージは、生きる価値があると思わせてくれる場所です

 最後に“今、幸せですか?”と尋ねると、

毎日、舞台に立てて幸せです。目の前のお客さんが充実した顔で帰っていくのを見ると、人のためになれてるんだなって。それが、今いちばんの幸せです

 と笑顔を見せたソニン。今後もステージで輝き続ける彼女の姿に、注目したい。