「すみません」と頭を下げていたが…

 A元被告は18日に控訴したが、翌日に一転、取り下げる考えを示し、20日取り下げた。前出・動物保護団体の関係者によると、

「判決後、弁護士から“控訴しませんか”と電話がかかってきたそうです。A元被告は“控訴してせめて保護観察が取れればいい。控訴審はメディアや誰にも知られないし、費用も掛からないと説明されて……”と話していて、言われるがまま、控訴を決めたようだった」

アメリカンカールのモコオ君。以前はきかん坊だったが最近はすっかり人懐っこくなっていた(飼い主家族提供)

 しかし、関係者が控訴審について、実際はそうではないことを説明すると、

「“思っていたことと違う”と驚いており、“やめてもいいんじゃないですか?”と尋ねると“そうしたいです”と話し、取り下げる旨を弁護士に申し伝えていました」

 そして、その直後、A元被告は上田さんにも謝罪した。

「“すみません”と頭を下げていましたが本当に申し訳ないという気持ちがあるのか……。“(謝罪する)気持ちはあるのか?”と尋ねると、うなずいていましたが……。確かに私たち家族に会うのは怖かったかもしれないが……オドオドしていて……」

 上田さんは怒りとも諦めともが混ざる心境だったことを明かした。

さらにA元被告の関与が疑われる案件も

 一方で、複雑な思いで裁判を見守っていた人がいる。

 中古車販売業を営む坂本肇さん=仮名=だ。飼い猫5匹が行方不明になっており、A元被告の関与が疑われている。

「警察に相談しましたが、証拠が乏しく“立件できる状況ではない”と言われ捜査は終わりました。今回の裁判はモコオくんの1件。うちの猫のことはわからないままです。Aが事実を話し、詫びでも入れてもらえたら……。今は宙ぶらりんな情況です」

 と苦しい胸の内を明かした。

 保護観察は付いているとはいえ、猫虐殺男は世に放たれた。前出・関係者。

「Aから“月2回ほど、家の中を見てほしい”と申し出がありました。孤独が元で猫を虐待する方向に進んでしまった。地域にも協力を依頼、見守りを頼みました」

 今後は保護司らと連携し、団体関係者が月数回ほど訪問し、目を光らせるという。

 A元被告はモコオくんのほか十数匹の連れ去り、虐殺は認めており、共犯者の存在も否定できない。猫への贖罪と更生の日々はまだ始まったばかりだ。