TNRこそ共生のモデルケース

一斉TNRで捕獲漏れの猫を、いったん島から連れ出し不妊手術し、また島に戻す
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 2018年の一斉不妊手術から半年がたった2019年4月4日。猫たちの事後調査のために『どうぶつ基金』は再び、青島に渡った。

「猫たちは毛並みもよく太っており、健康状態も良好。不妊手術をしたおかげで、猫同士のケンカも見られず、マーキングなどの悪臭もなくなっている。そして何より、子猫が生まれた形跡もなく胸をなでおろしました」

 今回の青島で行った一斉TNRを経て、「TNRこそ人と猫の共生を目指す地域にとってお手本になる」と、佐上さんは話す。

「2017年度に行われた猫の殺処分数は全国で3万5000頭あまり。そのうち、保健所やセンターに持ち込まれた所有者不明の猫の73%が生まれて間もない子猫です。不妊手術さえしていれば、生まれてすぐ殺される悲劇は、起きていなかったはずです

 そういった意味でも“猫の楽園”といわれる青島のTNR活動は、“殺処分ゼロ”社会を目指すうえで大きな一歩となりそうだ。

(※)TNR 猫を捕獲し、不妊手術を行い、元の場所に戻す。そして地域の住民や、ボランティアたちがその猫たちの世話をするという運動。TNRを施された猫は、耳の先をV字にカットし、判別する


《PROFILE》
佐上邦久さん ◎公益財団法人『どうぶつ基金』理事長。殺処分される犬猫の状況を改善しようと保護と里親探し、TNRを全国各地で実施している