SMAPブレイク以降に
デビューした彼ら

 SMAPが自らの人生にも立ちはだかるはずだった定年説を撤廃させ、アイドルのまま年を重ねても変わらず活躍できるようになった一番の理由は、その多岐に渡る活動と実績で「アイドルのマルチタレント化に成功した」ことだろう。SMAPのブレイク以降、アイドルはさまざまなジャンルに積極的に顔を出す存在へと変わっていった。

 芝居、バラエテイ、司会業、そして音楽。今やどんなジャンルにもフタを開ければ、アイドルの存在があり、そして私たちお茶の間サイドにも、その挑戦を普通に受け入れられる土台は、今やすっかり出来上がっているのが実情だ。

 しかし、「年齢」というわかりやすい再考の分岐点が取り払われた中で、着々と年齢を重ねていく当の現代アイドルたちの人生には、いつしか「何でもできる」からこその、新たな悩みも生まれはじめているのだろう。

 SMAPのブレイク以降にアイドルとしてデビューした渋谷、錦戸、赤西が、ここに来て自らのタイミングで続けて再出発を選んでいることには、その悩みのリアリティが詰まっているように見える。

 そういえば今回発売された渋谷すばるのソロアルバム収録曲にも、本人によって綴られた、こんな歌詞があることに気づいた。

「色んな事やってきたけど これで生きていきたいと思いました」渋谷すばる『ぼくのうた』より)

 何でもできる環境から、自分だけの生きる道を追求するために、自ら再出発を決断していく元ジャニーズアイドルたち。

 その姿はいつからか加速度的にボーダーレス化していくようになった社会の中で、少子高齢化によって定年の線引きも見えなくなってきている私たちの日々とも、どこか不思議に重なるのである。


乗田綾子(のりた・あやこ)◎フリーライター。1983年生まれ。神奈川県横浜市出身、15歳から北海道に移住。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルや音楽を中心に執筆。現在はフリーライターとして著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版しているほか、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』『CDジャーナル』などでも執筆。Twitter/ @drifter_2181