男子相撲と女子相撲の「差別」

 女子相撲も男子の相撲とルールに大きな違いはない。

 アマチュアの相撲は大相撲と違って体重別に戦うが、今選手が主に戦うのは無差別級。身長160センチの今選手は素早い立ち合いから大きな選手の胸元にもぐり込んで、相手を起こしながら押していく、押し相撲が得意だ。

 それは小さいころから変わらない。ほかの女子選手の試合も、動きの速い相撲が多くて、女子相撲はスピーディーで技の掛け合いも多く、おもしろい。そして、静かな闘志がメラメラ燃えるのもはっきり見えて、ほんと、ドキドキ興奮するのだ。

 しかし1997年に『第一回全日本新相撲選手権』(女子相撲は最初、新相撲と呼ばれていた)が開かれて以来、女子と男子の相撲には歴然とした差別がある。男子にはある全中(全国中学生選手権)や高校総体、インカレ(大学生競技会)、国体に、女子の枠はない。女子の選手がいるにもかかわらず、だ。1997年から女子相撲の競技団体が立ち上がっているのに、それから22年たっても変わらず、女子の競技会は少なく、競技人口は600人程度しかいない。女子が相撲を続けるのは大きな困難が伴うのだ。

女子相撲の今日和さん(左) 写真/立命館大学提供
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「相撲を続けていく中で、女のくせになんで相撲やるの? とはよく言われました。そういう固定観念は依然としてあります。でも、それはあまり気にはなりませんでした。それよりも、中学になったぐらいから相撲をやっててもご飯食べていけないな? 大学の推薦ももらえない? 大学終わったら相撲をやめなきゃいけないんだな? と思って、そのことがいちばん大きなことでした。それで大学のことを考えて勉強をしはじめました」

 女性には大相撲というプロはもちろん、男子なら当たり前の“実業団に入って社会人相撲を続ける”という道さえ困難で、過去、世界チャンピオンになった選手たちも大学卒業とともに土俵を去っていった。

 相撲は男がやるもの、という固定観念が女子相撲の道には大きな壁を幾重にも築いてきた。それでも今さんは相撲への希望を失っていない。いや、むしろ、さらに熱く燃えている。

「女子が相撲をやる環境はまだ整ってはないですけど、選手たちの情熱で競技力はどんどん上がってきています。今年初めての『わんぱく女子相撲大会』を見て、小学4年生でも自分の相撲の型をちゃんと持っていて、わぁのころからすると、競技レベルが格段に上がっています。

 また、相撲は昨年、国際相撲連盟がIOCに正式承認されました。オリンピックで男子も女子も相撲を取る日はきっと近いです。そのためには女子にも男子にあるようなジュニア強化合宿や、実業団などで戦う道が開かれてほしいです

 小学生の相撲大会『わんぱく相撲全国大会』はこれまで会場が国技館だったため、女人禁制の壁に阻まれて女子は地方予選を戦って優勝しても、全国大会には出られなかった。それが、今年は女子の全国大会が東京・葛飾区のスポーツセンターで初めて行われた(ちなみに男子の『わんぱく相撲』全国大会は今年35回目)。私も見たが、熱戦続きで小学生といえども手に汗握る相撲大会だった。