ダイエットを気にするあまりにカロリー優先で食事を決め、それにより食物繊維が不足して便が出なければ本末転倒。お通じにいいはず! と食していたサラダでさえ、実は食物繊維を多くは望めない。

ごぼうや豆類などの食物繊維を豊富に含む食品を、うまく調理に取り込むことをすすめます

 食物繊維だけに限って極端に言えば、『ケロッグ』の『オールブラン』は1食で11・9gを摂取できますが、過剰にとらわれるのではなく、何でもバランスよく食べること。便秘以前に、まず健康でいることがいちばんだと私は思います」

 例えばトライアスロンの選手は、プロテインなどのタンパク質を大量摂取するため、便がたまらずに1週間、出ないこともあるのだそう。

「彼らが不健康かといえばそうではありません。“便秘が治れば健康になる”というのは幻想であり誤解なんです」

 では、神山先生がオススメする、食物繊維もとれる健康にいい料理とは?

「世界的にみて、身体にいい食事のイメージは地中海料理ですね。オリーブオイルやナッツ類が中心で便秘にもよく、魚介類もふんだんに使われますから、血液がサラサラになるなど健康にもいい料理です。

 代表されるギリシャ料理、そこから発展したイタリア料理など、メニューとしてはブイヤベースやミネストローネなどは食物繊維も含めてバランスがいいですね

 無形文化遺産に登録されたヘルシーな響きの「和食」だが、実は、お寿司やすき焼き、てんぷらなどは食物繊維があまり期待できない。日本古来の一汁三菜からなる“粗食”ならば、便にも健康にもいいようだ。

適量の下剤なら問題なし

 食物繊維をしっかり摂取して、腸に便をためた状態であることを前提として、次のステップが第2のセルフケア「適度な下剤の使用」だ。

「もちろん、腸が自力で動いて自然と出るのがいちばんですが、2、3日待っても出ないようなら、お薬を試してもかまわないと思います。ただ、下剤を使うのであれば“バナナ便”を目指すようにしましょう

 このバナナ便は、バランスのいい食生活や腸の“トランジット(次ページ参照)”など、すべての条件がそろえば出てくるので、自分の腸内を知る目安になります。たとえ2、3日に1回の排便でも、バナナ便、もしくは近い便が出ていれば何ら問題はありません」

 下剤を使用して、最終的に出てきた便の形状を確認して、1日3錠飲んでいたのを2錠、1錠に減らしたり、毎日飲んでいたのを3日に1度、1週間に1回、2回に減らすなど、コントロールしながら自然に出るよう調整していこう。

「ただ、“お通じが3日間なくて下剤を服用したら泥状便が出てきた”場合は“トランジット”が速くなっていると考えられます。つまりは、その3日間で出なかったのは“便がたまっていなかった”と判断できるのです。

 自分で直腸や便がたまっているかを見ることはできませんが、便の形状を見ることで腸を客観的に知ることができるのです」