役者がいかに輝けるかが重要 

 作品づくりにおいてもうひとつ大事にしているのが役者それぞれの輝きだ。

「今回は三部構成で新しいお芝居と舞踊ショーをやりますが、大衆演劇って役者頼りの部分がすごく大きいんです。だから、作品がどうとかってことより、板の上でその役者がいかに輝けるかのほうが重要。演出家としてみんなができたと確信してから自分のことを考えようと思っているので、まだ自分のところのお稽古があまりできていないんですよ。

 だからこの5年間で劇団☆新感線やいろいろな舞台をやらせてもらった成果がどう出るのかも、わかりません。もしかしたら自分がいちばんダメダメになっちゃったりして(笑)」

 大衆演劇を知らない人にとっても、根源的で自由な舞台の楽しみを経験する、またとないチャンス!

遊園地のヒーローショーみたいな感じかな(笑)。それよりは内容が盛りだくさんですけど。かしこまって見るものではないので、気楽に来ていただけたらいいですね。いまは新しいお客さんが増えているので、劇場では昔から応援してくださっている人と新しい人が交ざると思うんです。だから、どういった反応になるのか読めないんですけど。

 きっとおばさま方というか、先輩の方々が率先してハンチョウをかけたりすると思うから(笑)、見よう見まねで新しいお客さんも楽しんでほしい。また前とも違う空気感になりそうで、僕自身も楽しみにしています


『劇団朱雀 復活公演』

 劇団朱雀の二代目座長、早乙女太一が総合プロデュース、脚本、演出、出演を兼ねて創り出す復活興行は、究極の大衆演劇ともいうべきもの。第一部は女形・早乙女太一による舞踊ショー、第二部は劇団☆新感線座付き作家の中島かずき、劇団・扉座主宰の横内謙介、早乙女太一がそれぞれ書き下ろした芝居を日替わりで、第三部は出演者全員による舞踊ショーという構成。

 弟・早乙女友貴ら座員のほか、木村了、喜矢武豊(ゴールデンボンバー)らも初参戦する。東京公演は11月26日~12月15日 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA。以後、岐阜、大阪、札幌を巡業。詳しい情報は公式HP(https://www.gekidan-sujaku.com)で確認できる。


早乙女太一(さおとめ・たいち)1991年9月24日、福岡県生まれ。大衆演劇『劇団朱雀』二代目として4歳で初舞台を踏み、全国で舞台公演を行う。2003年に北野武監督の映画『座頭市』出演をきっかけに、「100年にひとりの天才女形」として脚光を浴びた。2008年に新歌舞伎座史上最年少記録となる16歳で座長を務めたことを皮切りに全国で座長公演を続けるほか、ドラマや映画など活躍の場を広げる。主な舞台作品に『薄桜鬼 新選組演舞録』『トゥーランドット』『世界』など。劇団☆新感線には2009年の『蛮幽鬼』から2019年の『けむりの軍団』まで6作品に出演している。

取材・文/若林ゆり ヘアメイク/奥山信次(Barrel)