イギリスで孤独な人を支えるボランディアが多い理由

──海外ではどんな対策が?

岡本 2006年にアメリカで『孤独なボウリング─米国コミュニティの崩壊と再生』(ロバート・D・バットナム=著)という本が出たくらいから、地域のつながりが断絶されて孤独になっていると提起され、問題視されるようになりました。イギリスやアメリカには、国と個人をつなげるセーフティーネットを作るNPO団体がいっぱいあって、つながりのハブになっている。日本はそうした「サード・プレイス」が少なく国と個人しかないけれど、自治体も手が回らないのが現状です。

菅野 日本は自治体の単位が大きすぎますね。町内会、自治会はひとつあたり1000世帯以上も当たり前で、1人の民生委員が300世帯以上割り振られていたりする。誰がどこに住んでるかもわからないし、把握しようとしてもそもそも無理がある。

 住宅マップを使って誰と誰がつながっているか、ご近所同士を点と点でつないで見守っていこうという活動をしている団体があるんです。その代表の方がおっしゃるには、ご近所という単位でいうと、日常的に人の目が届くのって50世帯くらいらしいんです。それ以上は認知的に限界がある。でも今、行政サービスはご都合主義的なんです。公民館やコミュニティーサロンなどが家からすごく遠いところにあって、高齢者とか足が悪かったら歩いて行けなかったりする。どこか、ちぐはぐですよね。

岡本 少ない単位ならお互いにっていうのはできるけど、人の出入りが激しい都会では無理ですよね。

岡本純子さん、菅野久美子さん 撮影/矢島泰輔
【写真】髪の毛や血の塊がこびりついた床…目を覆いたくなる孤独死現場

──イギリスは特に先進的な取り組みをしているそうですね。孤立しやすい男性向けに、DIYという共同作業をしながら仲間と交流できる「Men’s Shed(男の小屋)」や、走らず、歩くサッカーを楽しむ高齢者向けの「Walking Football」が普及し、効果があらわれている。

岡本 そうなんです。ほかにもイギリスは数えきれないほどの団体が高齢者支援を行っている。イギリスの孤独対策ですごいのは、孤独な人たちを助けるボランティアをすることで自分の孤独も癒されるという人が多く、お互い支え合うんです。いつか支えてもらうんだから自分がいま支えておこうっていう考え方があって、まだまだ働ける60代のうちからボランティアをする人が多い。

 例えば、地域の高齢者が孤立しないように車で送り迎えしてあげて、ティーパーティーに連れて行く。それを開催するのもまたボランディアの方。そういう人たちがハブになって声をかけてくれる。すごく手厚いんですね。日本でもそういった支え合いのつながりがあったらいいなと思います。アメリカでも、行政だけではなく、民間の保険会社も対策に乗り出すなど、社会をあげて解決しようという機運が盛り上がっています。