子どもたちへ感動の舞台を届けたい

「僕もかつて、演出家から“理解が足りない”と言われたことがあって。最初は“何が足りないのか?”と思いましたが、否応なく考えるうちにいろいろなことに思い至り、“結局、必要なのは自分と向き合うことだったんだ”と気づいたんです。

 “ゴールばかり見るな”ということでしょうね。“考えるのをやめたら終わり。答えがないからこそ探し続けろ”と。この作品と出会ったおかげで、すごく考えるようになりました」

 加藤さんがいま、抱いている夢は?

「全国を巡演して各地にいる方々、特に子どもたちが舞台に触れる機会をつくっていることは、僕が劇団四季を好きな理由のひとつ。僕もその恩恵を受けましたからね。だから四季の俳優として、今度は僕がその機会をもっとつくり続けていきたいと思っています」


『キャッツ』
T.S.エリオットの詩集を、アンドリュー・ロイド=ウェバーがミュージカル化。都会のゴミ捨て場で、人間に飼い慣らされることなく懸命に生きる24匹の猫たちが、年に1度の舞踏会のために集まってくる。劇団四季による日本版は1983年に開幕。以来、通算公演回数は10000回を超えている。現在、大井町キャッツ・シアターにて上演中。この劇場での公演は、2021年夏に千秋楽を迎える予定。インターネット予約は(http://489444)へ。

かとう・すすむ◎10月11日、北海道釧路市生まれ。2008年に劇団四季の研究所に入所。『ライオンキング』のアンサンブルとして四季での初舞台を踏む。以後、『春のめざめ』オットー、『ガンバの大冒険』ガンバ、ヨイショ、『人間になりたがった猫』スワガード、『キャッツ』マンカストラップ、『はだかの王様』運動大臣アロハ、『パリのアメリカ人』アンリなどを演じ、実力を発揮している。