「いいものを作るためには妥協をしたくないんです。20年近く役者をやってますが、中途半端に仕事をする人にはなりたくない。そういった気持ちはこの先40代、50代になっても失いたくないです」

「上だけ見ていれば大丈夫かな」

 そう熱い思いを口にしたのは、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』をはじめ、今年も映画にドラマ、舞台と活躍した勝地涼。プライベートでは、2月に妻・前田敦子との間に第1子が誕生し、父親にもなった。

「子どもの成長は、早い(笑)。ビックリするくらい、どんどん成長していく。もう僕だけの身体じゃないですし、子どもを育てていかなければならないので、頑張らないといけないなと思います」

 そんな彼の2020年は、3夜連続で放送される主演ドラマ『破天荒フェニックス』から幕を開ける。壮絶な実話をベースに描かれた波瀾万丈な再生物語で、“倒産確実”と言われていたメガネチェーンの再起にかける若き社長を演じている。

「初めて原作を読んだときに、“こんなウソのような本当の話があるのか”と。僕も熱くなりやすいところがあるので、どんな困難があっても前に突き進む社長の“生きざま”には感銘を受けました」

 驚かされるのは、膨大なセリフ量……!

「スピード感も重要だったので、現場でみなさんと掛け合いの練習をたくさんしました。初日に(共演の)伊藤淳史さんと“セリフ量も多いしNGもあるかもしれないけど、ギスギスしないようにしましょう”って話して(笑)。会話の応酬がすごいんです」

 劇中では、主人公の前に何度も大きな“壁”が立ちはだかる。10代から活躍してきた勝地だが、彼もこれまですべてが順風満帆だったわけではない。

「20代前半までは壁にぶつかってはへこんだり、周りをうらやましいと思っていた時期もありました。仕事の話で熱くなってケンカしたり。でも、僕を含め、みんなあるときから自分に自信を持つようになってきて。そういったこともあって、今は上だけ見ていれば大丈夫なのかなという考え方に変わりました」