整形は絶対にしない!

 コメント欄のいろいろな声に淘汰(とうた)されていく人も多い中で、すっぴんをネットに公開するということに、不安はなかったのだろうか。

「思春期は特に、顔のコンプレックスが強かった。彼氏がカワイイ子と浮気したり、すっぴんを他人に見せたときに笑われたりしたことで、どんどん自分の顔が嫌いになりました。だから、いつもマスクをつけていました。

 最初にネットで顔を公開したあのころは、お金もなくて、整形もできなかったから、濃いギャルメイクでいつも虚勢を張ってたけど、いつからか大きすぎるコンプレックスを笑いに変えることで、メンタルのバランスをとりはじめていた気がします。そうでもしないとやってらんなくて。だから、すっぴんを公開できたのかも」

 今や整形は、高校生でも保護者の許しさえ出れば、お小遣いの範囲でできるほど手軽な存在。症例数も増え、世間体の中でもそこまで異質ではなくなりつつある。そんな今になっても、彼女が整形せず“ブス売り”を貫いているのはなぜなのだろうか。

「今は大人になったし、整形しようと思えばできるんですよ。でも、整形は絶対にしない! 私の動画を見てくれている子の中には、自分と同じようなコンプレックスがあって、でも、いろんな事情で整形できない子もたくさんいるんです。そういう子たちが、“コンプレックスがあってもここまで変われる”ということに希望を持ち続けてくれる限り、私は整形できないなあって。

 ……まあ、サラッと“整形したよ☆” って報告して巣立っていくファンもいるんですけどね(笑)」

 整形することが身近なこの時代に、誰かのために整形をしないと決断した彼女。自身はファンのために信念を貫いているが、自分の子どもがもし“整形したい”と望むとしたらどうするのだろうか。

「子どもが整形したいと思うなら、反対しないと思います。私の子育て方針は“やりたいと思ったことは、なんでもやらせる”。うまくいかないことも、失敗して傷つくこともあると思うけど、それでもやりたいと思った意欲を大事にしたい、経験することでわかることもいっぱいあるから。それに、子どもが悩んでいたら、一緒になってたくさん考えてあげたい

 常日ごろから、子どものことばかり考えているというまあたそ。子育ての環境も考え、仕事が東京で増えても、地元である岡山を離れるつもりはないという。「なんにもなくて、高校生のころは嫌いだった」という地元も、子育てしていくことを考えると、のびのびしたこの環境は東京にはないと、二拠点生活を送りながら感じるそうだ。子どもとの休日を楽しむことこそが息抜きなのだと、母の目で語ってくれた。

普段は朝7時に起きて、9時には保育園に送っていく、という生活。それから家事をして動画を撮影して……。夜中まで動画の編集をして睡眠時間が3時間になっても全然つらくない! 主婦業やお母さん業しているときがいちばん好きなんです。

 それに子どもの幸せのためなら、自分がつらくてもなんだってできるなぁって。そう思えるのは、私の両親たちが今でも私を全力で愛してくれているから。つらいときだって笑っていられたのは家族のおかげで、YouTuberを続けていられたのは、私の動画を見て笑顔になってくれたファンの子たちのおかげです

 インフルエンサーとして若年層には絶大な人気を誇るまあたそ。彼女を支えるのはいつも近くにいてくれる家族と、動画の向こう側にいるファンの存在なのだ。

まあたそ 撮影/吉岡竜紀
まあたそ 撮影/吉岡竜紀