ブロードウェイで昨年3月まで2年間ロングラン上演されたミュージカル『アナスタシア』が、この3月に日本人キャストで初上演される。

 今作は、帝政ロシア時代最後の皇帝ロマノフ2世の末娘アナスタシアが一族殺害の難を逃れて生き続けたという歴史上の謎「アナスタシア伝説」に基づいた物語で、第70回アカデミー賞の歌曲賞&作曲賞にノミネートされたアニメ映画『アナスタシア』に着想を得て作られたミュージカル。

 記憶をなくした主人公アーニャが、自分の過去を取り戻し、愛する家族と自分の心の帰る場所を見つける旅路を描いた、あらゆる世代が楽しめる心温まる作品だ。アーニャとともに旅をする若い詐欺師・ディミトリ役で出演する相葉裕樹さんに、作品の魅力やミュージカルへの思いなどを聞いた。

男らしさ、可愛いげが共存する役に挑戦

「まず、この作品の楽曲は大ナンバーが多くて、1曲1曲それぞれ聴きごたえも見ごたえもあると思います。衣装も豪華ですし、とても華やかな作品です。先日、カナダに公演を見に行ってきたのですが、舞台となるサンクトペテルブルクの街並みなどのLEDの映像が本当にリアルで美しくて。

 そこで、ディミトリが育った街をアーニャに紹介する『My Petters burg』という曲を歌うシーンがあるんですけど、映像を使った場面の展開の仕方に引き込まれましたし、見ていて鳥肌が立ちました。この舞台がますます楽しみになりました」

 詐欺師・ディミトリ役をオーディションで射止めた相葉さん。この役への思い入れは強い。

「オーディションを受けられたことがすごくうれしかったですし、自分自身にとって大きなチャンスだなと思いました。作品も素晴らしいですし、役もすごく素敵ですし。この作品をやることは、今の自分に必要な壁だろうなと感じたので、自分自身の可能性に挑戦したいという気持ちがかき立てられました」

 ディミトリの反骨精神のある生き方に共感し、無理なくナチュラルに演じられそうだと感じているという。

「ディミトリは育ちもいいわけではなく詐欺を生業としていますけど、どこかに純粋で素直な部分があって、男としての魅力がすごくある。男らしさと可愛げが共存しているようなキャラクターです。

 アーニャとの出会いで、彼自身も変化や成長もしますし、どこか未完成な部分があるのも魅力なのかなと。楽曲に乗せて心情表現をするんですが、それもとても腑に落ちるというか、無理なくスッと入れそうだなと思いました。

 反骨精神みたいなところが、自分の生き方と重なるようなところもあって、ディミトリの男らしさを、自分の中にあるもので何か表現できるような気がしたんですよね」