「“多恵子ー!”と叫ぶシーンが多くて、そろそろ大きな声を出すのが苦しくなってきました。前回の連ドラ主演作では“あなたたちは駒です”と言い捨てる冷酷な警視庁の管理官を演じたんですが、今回は正反対のキャラクターなので、もう違う惑星で演技しているのかなってくらい空気感が違いますよ(笑)」

 クールでシリアスな役から、ちょっとクセのあるコメディーまで、幅広い演技を自在にこなす小澤征悦(45)。放送中の東海テレビ・フジテレビ系ドラマ『パパがも一度恋をした』では、主人公の山下吾郎役を務めている。

おっさん塚地に“可愛いな”

 最愛の妻を亡くしたショックで、娘がいながらも仕事を辞めて引きこもり生活を送っている吾郎のもとに、妻が突然“おっさん”になって帰ってくるという、ドタバタホームコメディー。“おっさん多恵子”は、お笑いコンビ・ドランクドラゴンの塚地武雅が演じている。

「戻ってきた多恵子の見た目はおっさんなんですけど、演じていると“人って見た目じゃないのかも”って、心の底から思えてくるというか、なんか不思議な感覚になります。商店街のシーンを撮影したとき、たまたまそこに居合わせた一般の方々が撮影に気づいて、“頑張ってね!”と声をかけてくれることがあったんです。

 パッと塚地さんを見ると、その人たちに向かって、品のいいお嬢さんのような手の振り方をされていて(笑)。素直に“あれ、可愛いな……”と思っちゃいましたから」

 撮影現場でも、“おっさん多恵子”を演じる塚地がムードメーカーなんだとか。

「芸人さんということもあって、本当に話が面白いんですよ。この間、塚地さんが実はホラー系が苦手だと知って、娘のトモを演じている福本莉子ちゃんと僕で、わざと怖い話をしました。

 そしたら塚地さんが“もう、怖い!”って言ってて、また“可愛いな”って思っちゃって……。もう多恵子にしか見えません(笑)」

小澤征悦 撮影/佐藤靖彦

 “ど真ん中”のコメディードラマにもかかわらず、作中では“人は見た目か、中身か”“人は大切な存在を失ったとき、どう生きていけばいいか”といった壮大なメッセージも含まれている。

「美しい容姿やカッコいい見た目というのは結局、中身が伴っていないと透けてみえてしまうと思います。内面が美しい人は、おのずと外見もきれいに見えてくる。

 それはその人の人間性が浮き彫りになったものであって、その人唯一の“個”だと思います。その“個”というのが、その人の外見や生き方を形作る最も大切な要素なのかもしれません」