番組の放送後には視聴者の方々から、“正常性バイアス”の罠から抜け出して精密検査を受けた、予約をした、という反響が数多くあったと言います。

「“私は大丈夫!”ほど根拠のないことはありません。大腸がん検診に限らず、ほかの病気でも、もちろん気をつけてほしいのですが、“私は大丈夫!”って思いがちな心理があることを知ってもらうだけでも、その後の行動は変わるんですね。今回の『ガッテン!』の放送回を見逃してしまった人にも、この記事でそのことが伝わったらうれしいです」(田村ディレクター)

便潜血検査キットの認知度が低いことも問題

 またなぜ、がん検査のなかで『便潜血検査』を軽視するのか、取材を進めるなかで思い至ったことがあるのだそう。それは、子どものころにやった『ぎょう虫検査』や『食中毒を調べる検便』と、大腸がんの『便潜血検査』が混同されている可能性もあるのではないか、ということ。

番組制作チームが街で便潜血検査キットを見せて、何の検査だと思うか聞いて回ったところ、半分ぐらいの人たちが、大腸がんの便潜血検査だと把握していなかったのです。便を取るだけで簡単にできるので、命に関わるがんの検査とまで思えないのかもしれません。

 また、大腸がん検診で現在の便潜血検査がスタートしたのは'90年代からなので、正しく理解していない年配の人も多くいらっしゃるかもしれません。ちなみに現在、世界中で使われている検査キットは、なんと日本人が開発したものなんです」(田村ディレクター)

 便潜血検査の気になる費用は、自治体主導の大腸がん検診なら、40歳以上であれば無料から1000円程度がほとんど。お住まいの自治体に確認してみてください。

「実費よりも格安なうえ、検診精度も高い。つまり、超お得なんですよ」(小澤デスク)

国立がん研究センターが、各自治体で使用してもらえるように作成した『大腸がん検診受診勧奨リーフレット』。がん検診未受診者と受診者双方への徹底した聞き取り調査によって、受診者を代表的な3つのタイプに選別。リーフレットには、その3つのタイプそれぞれに訴求するメッセージを掲載し、自治体が受診者に検診をすすめやすいようにまとめられている。 ※画像をクリックすると、リーフレットの実物が見られます
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国立がん研究センターでは、地道な聞き取り調査によって、検診未受診者の人たちの"検診に行かない理由"や、"検査を受けない理由"を収集。それらの意見をもとに、“ついつい検診を受けたくなる”リーフレットを開発し、受診率向上の成果をあげている。このリーフレットでは、自治体による助成金によって、実際の受診費用よりもどれだけ割安になっているかを明記。大切な訴求ポイントである「費用面での後押し」も強調している ※画像をクリックすると、リーフレットの実物が見られます

【NHK健康チャンネル】「女性の死亡数1位! 大腸がん撲滅プロジェクト ~検診のすすめ〜」(https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_1136.html)より