勇一郎の母・凪子さんは心愛ちゃんへの虐待が起きたきっかけを、

「妻(なぎさ)が病気で子育てができず、2人の子どもの子育てをしなければならないストレスが一因だと思う」

 と悪いのはなぎさだと言わんばかり。心愛ちゃんに対しても、

「私たちにとって心愛さんは初孫ではありませんでした。しかも8年間会っていない、突然8歳の子どもが現れて祖父母としては戸惑うところがあった」

 と、どこか他人行儀。法廷においても、

「息子は孫以上に可愛い。私から(虐待を)疑われるのは勇一郎がかわいそうだと思った」

 などと、泣きながら証言。

 さらには、

「児童相談所が(心愛ちゃんのことを)要保護児童とかハイリスク児童と教えてくれていれば」

 と行政に責任転嫁ともいえる証言をした凪子さん。

 勇一郎も被告人質問で、

「(虐待のアンケートは)心愛が嘘を書いたと思う」

 と、ありえない自論を展開。亡くなった心愛ちゃんを嘘つき呼ばわりまでして自己保身に走る姿は勇一郎が口にする“反省”とは真逆の姿だった。

父親からの虐待を訴えたアンケートの写し(野田市教委提供)
父親からの虐待を訴えたアンケートの写し(野田市教委提供)
【写真】心愛ちゃんが書いた「自分への手紙」には“あきらめないで”の文字も 

 心愛ちゃんが味わった地獄のような苦しみや泣き叫ぶ動画を見ても表情を崩さなかった勇一郎だが、母の涙声を聞いている際にはうつむき、鼻水まで垂らして泣いていた。息子を愛するあまりに罪を咎めない環境が鬼を生んでしまったのかもしれない─。

 鬼父・勇一郎への判決は19日に下される。