早期発見が極めて難しいがん

 また、5年相対生存率が低いことも特徴的だ。5年相対生存率とは、あるがんと診断された場合に、治療でどのくらい生命を救えるかを示す指標のことだ。例えば、あるがんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、日本人全体で5年後に生存している人の割合に比べてどのくらい低いかで表す。

 数値が100%に近いほど治療で生命を救えるがんであり、0%に近いほど治療で生命を救うのが難しいがんであることを意味している。

「例えば、2006年から2008年に前立腺がんと診断された(進行度は関係なく)男性の5年相対生存率は、97・5%、乳がんと診断された女性は、91・1%です。これに対して、難治がんの膵臓がんの場合、男性で7・9%、女性で7・5%と非常に少ないことがわかります

 さらに胃がん全体で見ると男性で65・3%、女性で63%の5年相対生存率があるにもかかわらず、スキルス胃がんのみが極端に低いこともわかっている。

 がんを克服するためには、早期発見がなによりも重要だということは読者もご存じのとおりだ。しかし、難治がんは、早期発見が極めて難しいことが多い。

西田俊朗先生
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「理由は大きく3つ挙げられます。まず、自覚症状が出にくいということ。病院で検査をすれば多くのがんは発見することも可能となりますしかし、症状がなければ病院へ行かないのが一般的。このことはとても大きいといえるでしょう。

 2つ目は、症状が出たとしても発見が難しいケースがあるということです。膵臓がんの場合、CTでの画像検査では発見が難しいことも多いのが実情です。超音波内視鏡など特殊な検査が必要となります。

 最後は進行がきわめて早いということです。乳がんや前立腺がんなどは非常にゆっくりと進行しますし、甲状腺がんなどは1センチのがんが見つかっても手術はせずに経過観察をするケースもあるほど。すべてのがんがすぐに転移をして命を落とすことになる、というわけではありません。

 これに対して、難治がんの中には、もともと5ミリ程度のがんだったものが半年後に10センチもの大きさになる、あるいは局所範囲が限られた場所にとどまっていたがんが半年後には全身に広がっているというケースもある。また、ある時期までは何年も状態はそのままだったのに、いきなり急激な経過をたどる、つまり急に悪くなることも難治がんに多く見受けられる特徴でしょう」