《大阪・大阪市》長屋を住まいに地域ともつながる

「ハウスの『ideau(イデアウ)』という名前は『出会う』という意味の古語です。入居者で、立ち上げから参加する安田委久美(いくみ)さんが名づけました。新しい人生をみんなと出会い、新しい自分自身とも出会えるように願いを込めています」 

 と話すのは大阪府大阪市で母子SH『ideau』を運営する株式会社Peace Festaの越野健さん。同ハウスは築50年、10軒ある長屋の一部を利用、昨年7月からスタートした。越野さんらと入居者らがともに話し合い、物件を探し、一から作り上げてきた新たな『自宅』。

「離婚をネガティブにとらえずに第二の人生をスタートさせ、地域の人とも交流できる場所としてやっていきたいと話していました」(越野さん)

母子SH『ideau』にある共用のアイランドキッチン。調理しながら子どもたちにも目が届く
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 当初はシェアハウスでの暮らしについて具体的なイメージがなかったという冒頭の安田さん。参加した当時を振り返る。

「シングルになって、特に子どもに対し、申し訳ない気持ちでした。お留守番をさせたり、ご飯もひとりだったり。ほかのお母さんからも子どもと親2人の空間がしんどく感じたと聞いたので、もっとゆるくつながって生活しながらサポートし合えれば、自分にも子どもにもいいのでは、と思うところがありました」

各居室には水回りも配置。ほかの世帯に気兼ねなく入浴ができる

 入居して実感するのは子どもとの関係の変化だという。

「子育ては自分の親のやり方をまねるなどそれしか知らない。だから、ほかの人の子育てをリアルに見られるのも、とてもいいんじゃないかな。中学1年生の娘がほかの入居者の小さい子に気を配ったり、ハウスでの課題を解決するため、子どもの目線から私と話し合える関係になったのも面白いですね」(安田さん)

 ハウスでのイベントを企画する主体性も芽生え、暮らしを楽しんでいるというが以前は寂しい思いをしていた。

「娘は前の家ではひとりだったけど、今はリビングに行けば誰かいるから寂しくなくなったと話してます」(前出・同)

建物の前の道からは楽しそうに遊ぶ子どもたちの元気な声が響く

 運動会に入居者家族と越野さんらで応援に行ったこともあった。『家族』のような付き合いが育まれているのと同時に、ご近所や地域とのつながりも生まれた。安田さんは、

「野菜のおすそ分けをいただいたり声をかけ合ったり。ゆるくつながっている感じです」

 さらに希望もある。

「離婚して、子どもに申し訳ない気持ちや後悔があるからこそ何かできることがあるのではと思っています。過去はマイナスじゃなくて、自分も子どもも輝かしい未来の原石だったと考えたい。そのあたりも周囲とサポートし、ここに住むみんなで仲間に、『家族』になれたらいいです」