“生”を吹き込んだ再婚相手

 相手はカメラマンの桑島智輝。プライベートの彼女を四六時中撮影しているというエピソードでも話題になった。当時は過剰なラブラブぶりとして、バラエティー番組にも面白おかしくとりあげられたが、彼女にとってはこれが何より「効いた」のだろう。

 というのも、プライベートというのは「演じていない」状態だからだ。そこを撮影されほめられることは「演じていない」自分も愛され認められているという実感につながった。新たな夫は彼女を「演じていないと愛されない」という呪縛から解き放ったのである。

 また、自己肯定感が高まったことで、自分は自分だと考えられるようになり、容姿やイメージをめぐる悩みもうすらいだという。

 今から4年前には、長男が誕生。その翌年、前出のテレビ誌でふたりは対談して、こんな会話を交わした。

夫「一時期、存在が希薄でヤバかったんです。ご飯食べないし。寝てないし。ポテトチップスと炭酸ジュースで生命維持してる感じだったから

安達「出会ってなかったら本当に生命の危機があったんじゃないかなって思うぐらい。命拾いしました(笑)

夫「もともとそんなに食べない人だったから、炭水化物を摂取してるところを見ると嬉しくなるんですよ(笑)“生に向かってるな”って思うから

 2歳での子役デビュー以来、彼女は演じることを宿命づけられた人形のようですらあった。新たな夫はそこに生命力を吹き込んだといえる。実際、彼女は別のインタビューで「夫が私を人間にしてくれたと思うんです」とまで語っている。

 昔から人形のような愛らしさに定評のあった安達祐実。挫折や葛藤はそこにリアルな人間らしさを加えた。だからこそ今、身近な憧れの存在として、生き生きと輝けるのだろう。

PROFILE
●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に『平成の死』(ベストセラーズ)、『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『あのアイドルがなぜヌードに』(文藝春秋)などがある。