ヤラセとリアルの狭間で

 かねてから複数の週刊誌に「ヤラセ疑惑」や「セクハラ疑惑」などが報じられるなど、なにかとネガティブな側面も報じられてきたが、いまや『テラハ』は世界でも人気を博すほどの“ドル箱”コンテンツ。制作現場はどうだったのかが気になるが、撮影も特殊な方法で進行されていたようで……。

あくまでバラエティー番組なので当然、演出もあります。ですが、住人たちに演出をつけるときは“こうすればもっとOA(オンエア)で長く映っていられるんじゃない?”、“こういう展開になったら面白いよね”といったように、明らかな台本が用意されているというわけではなく、“暗に示唆するような”演出方法をとっていたといいます。つまり、予期せぬハプニングも起こる。これがリアリティーさを担保する秘訣なんだとか。今回の木村さんの“コスチューム事件”はそういったハプニングから生まれたものなのではないでしょうか」(前出・放送作家)

 こういった、リアリティーショーという体にこだわり続けた制作側が視聴者に思わぬ誤解を生じさせた可能性もあるという。

「彼らの実際の職場での働きぶりや旧知の友人に悩み相談をしている様子などにもカメラを回すなど、個々の“パーソナリティー”にフォーカスをあてるのも同番組の特徴であり、普通の恋愛リアリティー番組と大きく異なる点。ゆえにイラストレーターやモデル、スポーツ選手といったさまざまな職種から構成される住人たちは、卒業後もそれぞれの職業領域でファンや仕事を獲得してきたわけです。

 しかし、こういった部分が、リテラシーのない視聴者たちに“演出に生み出されたキャラでなく、彼らの素である”という認識を強め、ネットリンチをより熾烈なものにしたのでしょう。番組の冒頭で毎回、“台本は一切ございません”と繰り返し強調してきたというのも大きいかと」(同前)

 “リアリティーショーにリアルを内包する”といった番組のミソが、今回の悲劇を生んだといえなくもない──。