ジュリーは『ドリフ大爆笑』(フジテレビ系)でも志村さんと息の合ったコントを見せた。放送作家として『大爆笑』を担当していた海老原靖芳氏は「沢田さんは、いつもうれしそうだった」と語る。

「本番前になるとスタジオの隅っこに行って、打ち合わせするんです。そのときの沢田さんの雰囲気は、やっぱりとても楽しそうでしたよ」

「志村けんとしかやりません」

 ふたりの友情を物語る、こんなエピソードがある。

「沢田君が別の番組のスタッフに“『全員集合』と同じようなコントをウチでもやりたい”と打診されたそうなんです。でも、彼はそれを断った、と。“僕がやっていたのは、志村けんに作ってもらった、志村けんとやるためのコントです。志村けんとしかやりません”ってね。筋を通したというか、それだけ志村とのコントを大事にしていたんだと思います」(田村氏)

 ジュリーの義理立てがよほどうれしかったのだろう。今度は志村さんが恩を返す。1983年、ジュリーがMCを務めていた番組『沢田研二ショー』(TBS系)にゲストとして志村さんが出演したのだが、これは1974年に彼がドリフメンバーになって以来、初の“単独行動”だった。

「実は、この出演には、いかりや長介さんと事務所が大反対したんです。いかりやさんはチームワークが第一の人。だからメンバーのソロ活動をいっさい認めていなかった。でも志村さんは、押し切って出ちゃった。それだけ志村さんもジュリーへの友情を感じていたんじゃないかな」(当時を知る芸能プロ関係者)

 代役出演が発表された同じ日。ジュリーはたったひと言、コメントを寄せた。

《志村さんの、お気持ちを抱き締め、やり遂げる覚悟です》

 今なお、ふたりの絆は固く結ばれている。