言葉は生き物。発した人の人生を、生かしもすれば壊しもする──。『ナインティナイン』の岡村隆史がラジオで発した“風俗発言”では女性差別という批判にさらされた。言動に注目が集まるタレントたちが味わった“天国から地獄”のきっかけになった言葉とは?

「ビッグ」発言は皮肉めいたジョーク

 ひとつの発言がひとりのスターの人生を激変させる。田原俊彦(59)の“ビッグ”発言はまさにそういうものだった。

 これは’94年2月、長女の誕生を発表した会見で発したもの。自ら「マスコミ嫌いの田原」が「僕の意思に反する」会見をするのだとして、こんな皮肉めいたジョークを飛ばした。

「何事も隠密にやりたかったんだけど、僕ぐらいビッグになっちゃうとそうはいきませんけどもね、よくわかりました、はい」

 前年の結婚以来、自宅まで殺到する取材攻勢を鎮(しず)めるための会見だったが、この発言が反感を買ってしまった。これを機に、メディアから干されたという見方も存在するほどだ。

 しかし、実際はこの発言だけが原因ではない。彼はこの会見の翌月、人気がやや低落するなかでジャニーズ事務所から独立。しばらくは別の大手事務所が後押ししたものの、かつてほどの庇護は得られず、そっちのほうが痛手だった。

 例えば、’88年に村西とおるとセクシータレントが組んで下半身スキャンダルを告発した際、メリー喜多川と娘のジュリーが、その週刊誌に反論記事を掲載させたことがある。両者の話し合いというかたちをとりつつも、途中で田原の親衛隊まで乱入させ相手を攻撃させるという、力の入ったものだった。

 一昨年、彼はトーク番組で“ビッグ”発言について「干されたのは俺に力がないから」と謙虚に振り返ったが、かつてはそこに事務所の庇護というパワーも含まれていたわけだ。