コンビ仲のよさも大きな魅力のひとつ。

『病院ラジオ』でも「依存症治療病院」編でアルコール依存症の患者が「褒められたらがんばれた」と発言した回があった。すると2人は互いに「いつも面白いネタ書いてくれてありがとな」「こちらこそいいツッコミしてくれてありがとう」とサラッと言い合う。それを自然体のままできるコンビはなかなかいない。

 下積み時代は約10年間同居。そのころ、ケンカしなかったのかを聞かれても「しませんよ。ケンカってします、普通?」と当たり前のように答える。誕生日には金がなかったため、タバコを1箱贈りあったという。「今は生活できるようになって、3カートンずつあげてますよ」と伊達は笑う(フジテレビ系『ボクらの時代』2020年6月21日)。

人生を変えた人=「相方」

 人間ドックには両夫婦4人でいき、富澤家の出産に立ち会ったのは伊達の妻だった……などと仲よしエピソードは枚挙にいとまがない。

「人生を変えた人」を尋ねられるとお互いが相方の名前を挙げる。

「富澤が誘ってくれなかったらお笑いの世界にははいっていないから」
という伊達は、もし富澤が死んだら「僕、この世界辞めますしね。1人ではやらないです」(テレビ朝日系『日曜もアメトーーク』2017年9月17日)と断言する。

 29歳のとき、伊達に「もうやめないか」と切り出したら「まだ早いよ」と即答されて「そっか、もう少し頑張ってもいいんだ」と素直に思えた(『POPEYE』2018年3月号)という富澤は、何か発信したいことはないのか、と問われると「俺は伊達が何をしたら面白いかなになっちゃうのよ」(『ボクらの時代』=前出)と答える。

 2人からはその人間性や仲のよさが、付け焼き刃で作られたものではないことが伝わってくるのだ。

「“いい人”イメージがつきまとうのは、ちょっとめんどくさいです」(『週刊女性』2019年8月6日号)と富澤は言うが、サンドウィッチマンに感じるのは、“いい人”というよりも“強い人”だ。震災直後のラジオ(ニッポン放送『サンドウィッチマンのオ-ルナイトニッポン』2011年3月18日)のエンディングで、富澤はこう言って聴取者たちを励ました。

「俺たちは強いぞ! 大丈夫!」

 さまざまな窮地を2人で一緒に戦い乗り越えてきた。その経験で培った人間力の強さゆえ、どんな相手にでも優しく対等に接することができる。彼らを見ていると自分たちも強くなれる気がする。もはや、2人の好感度や信頼度はちょっとやそっとでは揺らがないだろう。

〈文/てれびのスキマ〉