さらに、熱心なファンの人以外も含め、強いショックを受ける理由については、亡くなり方が衝撃的だったこと、突然のタイミングであったこと、活躍ぶりからは今回の事態が予想もつかなかった、というギャップなども影響している、としたうえで、

「生前の三浦さんのイメージは、誰からも好感を持たれるような人物でした。それゆえ、余計に“きっとかわいそうなことがあったんだ”“若くして亡くなるくらいだから、長い間、そうとう苦しかったに違いない”などと勝手に思いやすいのです。人の心の痛みがわかることはとても大事なことですが、自動的に共感性が働きすぎることで、必要以上に悲しくなったり、つらくなったり、苦しくなったりすることがあります」

 と、『共感性』により想像力が掻(か)き立てられ、その悲しみが増大してしまうのだと指摘した。

誰かに胸中を話すことには大きな効果が

 今回、三浦さんの訃報を受けて「なぜか自分も死にたくなってしまった」とSNSに投稿した若者たちの存在が目立った。これに対し藤井氏は「まずは、少しでもいいので誰かに自分の気持ちを話すことが大切だ」と話す。

三浦さんが亡くなったことで自分のなかの何かが刺激されたり、あらぬ思いが呼び起こされてしまったりする人は、まず“三浦さんの後を追う”なんてことは彼がもっとも望んでいないはずだ、と考えてほしいです。それから、自分が抱えている苦しみを話せる相手や頼れる相談先を探してみてほしいですね。

 “話すことだけでは解決しない”と感じるかもしれません。ただ、“そう思ってしまうのも本来の自分ではないのだ”と考えてほしいです。また、昨今はコロナ禍におけるソーシャルディスタンスの確保や感染拡大予防対策によって、人との繋がりや雑談をする、コミュニケーションをとるなどの機会が最小限に留められています。ですからお互い、自分の近況を人と共有したり、周囲を気にして声をかけてあげたりすることが、いつも以上にできるといいと思います

 いざ誰かに相談するとなると、何をどう伝えればいいのかと考えてしまう人もいるだろうが、基本的には自分の素直な気持ちを話すことから始めるのがいいそう。

「もちろん、うまく伝えられるときとそうでないとき、両方あると思います。ただ、誰かに話を聞いてもらい、思いを共有するということは、自分の胸中を外側に出して形にする作業ですから心の整理ができますし、話している間に新たな心境や大事な何かに気づけることもあるでしょう」