「いまだに芸能人が着たことで、値段が上がるのはキムタクだけですね」

 そう話すのは、ファッション関係の現役バイヤーの男性。彼は古い言葉でいえば“せどり”、最近の表現で言えば“転売ヤー”。つまり、人気の商品をあらゆる手段を使って安く仕入れ、別の店や個人に高く売り、その差額で稼ぐ。彼からしても「やっぱりキムタクはヤバい」というのだが、すごさの秘密はどこにあるのだろうか――。

 SMAPとしてデビュー後、1990年代からドラマや映画、CMとあらゆるメディアに引っ張りだことなり、“日本一のイケメン”の名を欲しいままにしていた木村。

「1990年代からファッション系の転売をしていますが、当時の人気はすさまじかったですね。1998年に『オロナミンC』のCMで着たスノボジャケットが、いちばん高いときで60万円くらいで取り引きされていました。もとの定価は5万円ほど。2000年代に入っても、ドラマ『HERO』で着たダウンジャケットが高騰しました。転売ショップやオークションサイトなどでは“木村拓哉着用”の文字が高らかに踊っていましたね」(同・バイヤーの男性)

ファッションリーダー・キムタク

 当時のキムタク人気について、ファッションライターの宇塚健さんは、

「今では死語のようになっていますが、1990年代〜2000年代前半の木村さんは間違いなく日本一の“ファッションリーダー”でした。彼が着た服、履いた靴、していた時計、持っていたバッグ……身につけたモノすべてが人気になり、高騰するという時代でした。しかも、今のようにSNSを使って芸能人が個人で発信することがなかったので、そのすべてはドラマや映画の中で使っていたものだったわけです。つまり、彼の私物ではないのに、こぞって若者が飛びついたということですね」

 近年は、ネット上で《顔たるみすぎ》《痛いオッサン》《相変わらず演技が…》などとネガティブな評価を受けることも多くなっていた木村。『週刊女性』が毎年行う『好きなジャニーズ』ランキングでも、2018年は19位、2019年は12位という結果となっていた。

 しかし、木村は今年5月にインスタグラムを開設。これまで見ることのできなかった日常が綴られ、ファンとの距離がグッと近くなった。個人で発信することによって、“彼の私物”も可視化され、このことが転売業界にも変化をもたらした……。