豊胸手術をして挑んだ3冊目のヌード写真集

 当時は、全然落ち目なんかじゃない人気女優も、水着姿すら見せそうになかった芸能人も、そんな写真集を盛んに出していた。が、勝手にわりと林葉直子という女性に共感もあるつもりでいた私も、ますます深まる謎に首を傾げた。

「次の一手、というのも考えてるし、打ってるんだろう、きっと」

 金に困って、といった覚悟と悲壮さも伝わらず、強烈な自己愛や顕示欲といったものも漂っていなかった。とことんエロを追求したのか、何か別の意図があるのか、彼女は裸をさらしてもなお、謎ばかりを提示してくるのだった。

「写真集を撮りませんか、というお話があって、おもしろそうだな、と。ちょっと色っぽい写真があったほうが話題になるし売れるんじゃないの、という方向になって、結局脱ぐことになりました(笑)。

 2冊目の写真集、野村誠一先生にとっても素敵に撮っていただいて。うれしかったな。でも、胸がないのが気になって。だから3冊目のオファーが来た際に、高須(克弥)先生にお願いしたんです」

 そうして彼女は有名美容外科の高須クリニックで豊胸手術を受ける。写真集の発売後は、クリニックの広告にも登場し、谷間を強調するセクシーポーズを披露していた。

高須クリニックで高須院長執刀のもと、豊胸手術を受けた後の記者会見
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 この人はどうしてあんな恵まれた境遇から、こんな暴走と迷走をしているんだろう。悪い人たちにそそのかされているのか。と謎を追いつつ、本人が自分の意志で好きなことをやっているだけのようにも見えてはいた。

 林葉さんはいったいどんな先の先を見据えて駒を進めているのか、私だけでなく日本中がわからなくなっていた。

 このころにはもう林葉直子といえば、相変わらず美人ではあったが二十代も後半となったので美少女ではなくなり、棋士でなくなったので天才や女王といった冠もなくなり、いろいろお騒がせなタレント、という括りに入れられていた。

 そうして満を持して、なんていっていいのか。林葉さんといえばこれ、といわれるほどになった強烈な不倫スキャンダルが起きる。

 林葉さんには恐怖でしかなかっただろうが、自身の師匠の親友であり偉大なる先輩でもあった既婚者のお相手が、若い恋人である林葉さんに未練たっぷりに「突入しま~す」と留守番電話に吹き込んだ脅し文句は、脅しでありながらどこか笑えるもので、連日ワイドショーで流され、流行語にすらなってしまった。

 それらが落ち着いてからは、林葉さんは東京・六本木でインドカレー店を経営したり、タロット占い師になったりした。ちょくちょくマスコミにも取り上げられはするものの、スキャンダル全盛期のような連日ワイドショーで騒がれる、といったこともなくなった。

 まだ迷走しているとも、なんだか落ち着くところに落ち着いた、とも見られていた。