最後に訪れたのは自殺した人の霊が出るというトイレ。そこには霊ではなく雨の中、トイレの前にたむろするサラリーマン風の男性がいた。

蛍光灯の青白い光が妙にまぶしいトイレ。暗いと確かに不気味な雰囲気も
蛍光灯の青白い光が妙にまぶしいトイレ。暗いと確かに不気味な雰囲気も
【写真】不気味な雰囲気の漂う「立ち入り禁止の建物」

 話しかけてみると怪訝そうな顔をされた。夜中にいきなり声をかけられれば当然だろう。ただ、その後、もうひとつの理由も推測できた。

遭遇したのは霊ではなかった

 近くに止められた車の中には泣いている女性の姿……。触れてはいけない事情があったことを察した。

 その後は何事も起きることなく心霊スポット巡りは無事に幕を閉じた。

 T公園の人骨だが警察は“事件性がない”と発表、現在はうやむやになっているという。そうした状況や憶測、噂が重なり、心霊スポットとなったのではないだろうか。

ただ、歴史の闇に葬られ、きちんと供養されてない魂もいるかもしれませんね。戦争の被害者たちが幽霊の噂に姿を変え、何かを訴え続けていてもおかしくはありません」(前出・心霊ライター)

 霊とは出会うことはできなかった理由を、吉田さんはこう推測する。

「霊との関係は一方通行ではなく、双方の関係性が重要なんです。私も怪談師という職業柄、心霊体験があったほうがネタになると考えていますが、体験できない」

 だから取材という名目の私たちの前に公園の霊は姿を見せなかったのかもしれない。

 そして心霊スポットに惹かれる理由については、

「ここではないどこか異世界を求めているのでしょうね。日常生活、普通に暮らしている現実とは違う、それは異界への旅です」(前出・同)

 と説明する。さらに、

「霊が出るとされる場所や不気味な廃墟、一家心中があった家などでの心霊の噂のほとんどが嘘ですが、私たちは死の世界、死にまつわる世界に興味を持ちます。肝試しのように、そうした場所に旅立ち、現実に帰ってくる行為は人類が太古の昔から行ってきた通過儀礼、一種のイニシエーションです。成長を促すためにも心霊スポットは必要だと思います。

 でも近隣住民には迷惑をかけない、不法侵入はしないことが大前提ですが