重たい体で運動をすればひざなどに負担がかかりそうだから、脂肪を落としてから運動に取り組んだほうがいいのではないか、と心配する人もいるかもしれません。実際、太っている人は、重たい荷物を抱え続けているのと同じなので、ひざや股関節を悪くしやすいものです。だからこそ、とくに下半身の筋肉を使う運動を上手に取り入れることが大事です。

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 スポーツジムに行ってランニングマシンで運動をするなら、心拍数を意識して脂肪燃焼効率を高めるとともに、傾斜をつけて少し負荷をかけること。負荷がかかることで、より筋肉がつきやすくなります。そうすると、脂肪を落とす有酸素運動と、筋肉をつける運動を同時に行えて一石二鳥ですね。

 水泳も、水圧で自然に負荷がかかるので、有酸素運動だけではなく筋トレ効果もあり、よいと思います。もちろん、マシントレーニングで筋トレを行って、ランニングマシンで有酸素運動を行うなど、両方をそれぞれ行うこともおすすめです。

 その際、筋トレから行ったほうがいいのか、有酸素運動から行ったほうがいいのか、順番を気にする人もいるかもしれません。「筋トレをしてから有酸素運動を行ったほうが、成長ホルモンが分泌されて、有酸素運動時の脂肪燃焼効率が高まる」といった話も耳にしますが、科学的根拠は不十分です。

 筋トレが先でも有酸素運動が先でも順番はどちらでも構いません。それよりも、両方の要素を取り入れることが大事と考えてください。

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 ついでにいえば、「1日のうちでどの時間帯に行うべきか」も、とくにこだわる必要はありません。いつでも、できる時間帯でかまいません。ただし、おすすめできない時間帯はあります。自律神経がリラックスモードの副交感神経優位からアクティブモードの交感神経優位へと切り替わる早朝は、体がギアを上げて血圧が上がり、心拍数も増加しているタイミングなので、激しい運動はおすすめできません。また、寝る前も、運動で交感神経を刺激すると眠れなくなってしまうので避けたほうがいいでしょう。

 私の場合、ある程度まとまった時間が取れるのは診療後なので、運動は仕事終わりに行っています。ただ、なかなかまとまった時間が取れる日ばかりではありませんよね。ですから、日中の生活のなかで小まめに筋肉を動かす機会を増やすことも大切です。


池谷 敏郎(いけたに としろう)医学博士/池谷医院院長
1962年、東京都生まれ。東京医科大学医学部卒業後、同大学病院第二内科に入局。1997年、医療法人社団池谷医院理事長兼院長に就任。専門は内科、循環器科。現在も臨床現場に立つ。生活習慣病、血管・心臓などの循環器系のエキスパートとして、数々のテレビ出演、雑誌・新聞への寄稿、講演など多方面で活躍中。東京医科大学循環器内科客員講師、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。著書に『体内の「炎症」を抑えると、病気にならない!』(三笠書房)、『「血管を鍛える」と超健康になる!』『血管の名医が教える15歳若返る習慣』(ともに知的生きかた文庫)などがある。