引いてしまうほどの
マジな“号泣”謝罪

 猛烈な勢いで、たて続けにアップしているのも気になるし、「気分のアップダウンが激しい」印象も否めない。むくんだ顔で主語と述語と謙譲語がとっちらかったまま話すときもあれば、ヤフコメのアンチに対しても真摯に自分の思いを伝えるときもあった。

 長年のファンの人は「ああ、これがともちゃん節だよね!」と思うのかもしれないが、私は心がざわざわした。今、ともちゃんは野放しの野生YouTuber状態。何をしゃべるかわからないので、メディアもそこに期待をしていたに違いないのだが……。

9月23日、YouTubeにアップされた動画で号泣謝罪(YouTubeより)
9月23日、YouTubeにアップされた動画で号泣謝罪(YouTubeより)
【写真】報道陣の前で!? 手を繋いでラブラブな華原朋美と小室哲哉

 連日30分前後の投稿が続いていたが、9月23日、様子が一変した。今まではほとんどアップの撮影だったが、上半身が映る引きの映像に。タイトルは「謝罪をもうしあげます。」。約29秒の映像で、高嶋と所属していた尾木プロダクションの社長に対して謝罪したのだ。そして、「虐待ではなかった」として、泣きべそをかいて反省しているという。とうとう怒られちゃったともちゃん。やはり甘さと幼さが災いしたようで、虐待騒動はこれで手打ち、ということらしい。 

 そもそも仕掛けなどなかったのか? 誰かの「ともちゃん、YouTubeやっちゃいなよ~」の無責任なひとことを鵜呑みにして軽い気持ちで始めてしまったのか? 週刊誌にリークしたと言われている例の記事も、「ともちゃん、それ、記事にしなよ~」と言われたからなのか? 仕掛けにまんまと乗っかって本人がサンドバッグ状態に。そういう悪しき仕掛け人ではなく、彼女の才能をちゃんと世に出す仕掛け人はいないのか……。

 ともあれ、怒濤のスタートをきり、満員御礼であることは事実だ。YouTubeはそういうメディアでもあるわけで。ファンの応援コメントもたくさん送られている。そして、YouTubeでは過去の映像もたんまり観られる。

 輝いていた若いころの映像も、一度挫折を味わい、隔離病棟にまで入って死ぬ気で頑張って復活したころの映像もある。再出発のときに出演した番組では、歌の出だしで感極まって歌えなかったシーンもある。でもその後、笑顔でのびやかな歌声を披露した。つまり、YouTubeで華原朋美の人生まるっとおさらいできるのだから、新規顧客獲得も目指せる。とにかく歌うこと。それに尽きる。

 平成の世を波乱万丈で生き抜いた歌姫が、令和の時代は平穏に生き延びられますよう。“Kファミリー”という呪縛が解けて、自身の足で立った状態で歌えるといいよねぇ。ひとりでは厳しそうなので、善き仕掛け人が現れるといいよねぇ……。

吉田 潮(よしだ・うしお)
1972年生まれ、千葉県船橋市出身。医療、健康、下ネタ、テレビ、社会全般など幅広く執筆。『週刊フジテレビ批評』(フジテレビ)のコメンテーターもたまに務める。また、雑誌や新聞など連載を担当し、著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『くさらないイケメン図鑑』(河出書房新社)、『産まないことは「逃げ」ですか?』『親の介護をしないとダメですか』(KKベストセラーズ)などがある。