「李香蘭」として人気に
司会者、政治家に転身 

中国で生まれた山口は13歳のときに中国人歌手「李香蘭」としてデビュー。日本にたびたび来日し映画出演や歌手活動を行い『蘇州夜曲』『夜来香』などがヒットし人気に。終戦後は日本人として本名(山口淑子)で活動した
中国で生まれた山口は13歳のときに中国人歌手「李香蘭」としてデビュー。日本にたびたび来日し映画出演や歌手活動を行い『蘇州夜曲』『夜来香』などがヒットし人気に。終戦後は日本人として本名(山口淑子)で活動した
【写真】オーラがありすぎるロケ中の原節子、実は写真嫌いだった

 日本統治下の満州で生まれた山口は、中国人歌手「李香蘭」として13歳でデビューし、日本の国策映画会社、満映から“日本語の堪能な中国人女優”として売り出された。

 日中戦争が勃発すると、日本の植民地政策のプロパガンダに利用されながらも東アジアのスターとして人気に。1941年に有楽町・日劇でのリサイタルではファンが押し寄せ劇場のまわりを行列が取り巻く“日劇7回り半事件”と報じられた。

 '45年に中国で終戦を迎えると売国奴を意味する漢奸を疑われたが、日本人であることが証明され翌年、帰国。本名の山口淑子として活動。黒澤明監督『醜聞〈スキャンダル〉』などに出演したほか、シャーリー・ヤマグチの名でアメリカでも活躍。 '58年に2度目の結婚を機に女優を引退。

 '69年にワイドショー『3時のあなた』の司会者となり、 '74年に政治家に転身。 '92年に政界引退後も従軍慰安婦問題に取り組み、2014年9月に94歳で亡くなった。
 
 ふたりの歩みを知ることができる特別展には写真、ポスター、衣装など250点を展示。「時代に翻弄されながらも主体的に生きた、ふたりの女性の姿を感じてほしい」(同館学芸員の阿部久瑠美さん)

特別展「生誕100年激動の時代を生きた二人の女優―原節子と山口淑子」
特別展「生誕100年激動の時代を生きた二人の女優―原節子と山口淑子」

【特別展開催中】 特別展「生誕100年 激動の時代を生きた二人の女優―原節子山口淑子
/鎌倉市川喜多映画記念館にて12月13日まで/特別観覧料:一般400円、小・中学生200円/開館時間9時~17時(入場は16時まで)/電話番号:0467-23-2500