軽い気持ちで書き込んだものが
罪に問われる可能性も

 三浦さんのことを少しでも知りたいというファン心理がもとになっているとはいえ、真偽不明な情報まで事実のように拡散したり、共演者などに誹謗中傷を行うのは倫理的に問題だろう。そこで、弁護士法人 天音総合法律事務所の代表弁護士である正木絢生氏に、法的にアウトになる書き込みや動画の境界線について聞いた。

――罪に問われる書き込みや動画の境界線は?

ありもしない事実を書き込んだ場合、名誉毀損となる可能性があります。ただし、真実だと信じたことがやむを得ない場合は除きます。また事実を含まない場合、侮辱罪が成立する可能性があります。

 いずれも親告罪なので、被害者による告訴が必要です。また写真の無断使用などは別途著作権侵害の可能性もあります」

――殺人犯扱いする投稿を罪に問うことはできますか?

「財産的・精神的苦痛について民事上も責任を問える可能性がありますが、犯人の特定や損害の立証などが困難なこともあります。認められれば、損害賠償や謝罪文の掲出を請求できます」

――「三浦さん死去の速報が午前中に流れた」といったデマ情報をもとに、「事務所は隠蔽している」などとバッシングをする場合は罪に問われますか?

こちらについては会社が情報を隠蔽しているという会社の社会的評価を下落させる事実を摘示していることは明らかであるので、会社に対する名誉棄損罪の成否が問題となりえます。内容自体がにわかに信じがたいものであるのに、そういう書き込みをしたことは必要な注意を欠いたものと評価されるものと思われ、会社に対する名誉棄損罪の成立の可能性は否定できないものと思われます」

――ドラマ関係者などへのバッシングも目立ちます。度を超えたものは罪になる可能性はあるのでしょうか?

「叩きコメントが当該ドラマ演出家に向けられたものであるとすれば、名誉棄損となるか(人の社会的評価を下落させるか、あるいは名誉感情を侵害するか)の問題はあるものの、演出に関するコメント程度であれば、基本的には論評の範疇であり、名誉棄損は認められないと思います」

――炎上した場合の対策や、誹謗中傷した人を訴える場合に必要なことがあれば教えてください。

誹謗中傷の事実自体を明らかにするために、当該投稿のスクショ(スクリーンショット)は取っておいた方がいいと思います。費用や時間については相手が匿名か否かなど相手方の事情に左右される部分が大きいため、一概には言えません」

――炎上した際にやってはいけないことはありますか?

投稿削除はさらなる炎上を招く危険もないことはないですが、炎上を鎮火するためには一定程度有効と思われます。書き込みをした人とSNS上でやりあうこと(削除を求めること)は、感情的摩擦を生んでさらなるトラブルに発展する可能性もあるため、推奨はできません」

 なくならない誹謗中傷やデマの拡散だが、SNSに書き込む際や情報を拡散する際には、信ぴょう性がある情報なのか? などをしっかりと確認の上、行うべきだろう。