プリンちゃん視点に立つと“感動的でない”

 出演者が一新したことも、相葉の肩に力が入りすぎている理由のようだ。

本来、番組の“回し”をするタイプではない相葉さんを支え、フォローしていた共演者を残すか否かの判断がギリギリまで決まらなかったんです。最終的に番組を一新するという意味で、志村さん時代に出演していたDAIGOさんや山瀬まみさんなど、相葉さん以外のメンバーをすべて降板させることになったそうです」(同・芸能プロ関係者)

 新メンバーとして、丸山桂里奈や橋本が番組に加わることになったのだが……。

橋本さんはまだキャリアが浅いし、丸山さんもかなりの天然キャラですからね。相葉さんのフォローができる出演者がいないんですよ。でも番組内容などが決まらないままスタートした手前、タレントたちを責めることはできません」(前出・制作会社関係者)

 そのため、スタッフの負担は増すばかりだという。

「現場は疲弊状態が続いており、“辞めたい”と漏らすスタッフが何人か出ている状態だといいます。現場のスタッフからは“早く番組の方向性を決めてほしい”との声が上がっていますが、いつ改善されるか、今のところ不明ですね」(同・制作会社関係者)

『志村どうぶつ園』は16年間続き、チンパンジーをはじめとする動物たちと仲のいい関係を築いた。『みんなのどうぶつ園』が長く続くためには、動物と人間ではなく、まずは人間と人間が円滑にコミュニケーションを取れるようになることが先なのかもしれない。

 しかし、その“動物”との関係も良好なものではないという指摘がある。

「僕なりに精いっぱい全力で教えてあげたいな」

 11月14日に放送された『みんなのどうぶつ園』で相葉は、今年3月に亡くなった志村けんさんが愛したチンパンジーのプリンちゃんと感動の再会を果たし、このように決意を表現していた。「教えてあげる」というのは、プリンちゃんに自転車を教えるというものだ。

 “プリンちゃんと自転車”は、'20年2月末に行った志村さん最後のロケで、彼が溺愛していたプリンちゃんに自転車の乗り方を教えた。ずっと放送できずにいたが、9月26日に『志村どうぶつ園』の最終回として放送された。志半ばで園長が急逝してしまったため、番組を受け継いだ相葉にとってプリンちゃんに自転車を教えることは、もっとも大切な仕事の1つといえるのだが……。

まず、“自転車に乗る”というのが、チンパンジー本来の行動レパートリーにはないものだという点に問題があります

 そう警鐘を鳴らすのは、ヒトとチンパンジーの発達の比較研究を専門とする大阪成蹊大学教育学部准教授の松阪崇久さん。

自転車に乗ることは、本来チンパンジーにとって意味のない行動です。チンパンジーは好奇心旺盛なので自転車に関心は持つでしょうが、プリンちゃんは自転車に乗れるようになることを望んではいなかったでしょう。自転車に乗れるようになったとしても、プリンちゃんはそれで好きな所に行けるわけでもありません。動物ショーで行う芸のレパートリーが増えるだけかもしれません。

 番組の中では、志村さんの遺志を実現させるために挑んだチャレンジとして感動的に描かれていたようですが、このようにプリンちゃんの視点で考えてみると、感動的な話にはみえなくなります」(松阪さん)