一致したのは「裁判で真実を明らかに」

 ウソをつかれているほうのダメージやショックは大きい。それだけに両者のつばぜり合いは必然、激しくなる。

 町長は力を込めて言う。

リコール成立後、町外の人がやって来て役場の前で“町長辞めろー!”と拡声器でガンガンやられましたが真実はひとつ。必ず裁判で濡れ衣を晴らします。新井氏はリコールに絡めて“立場の弱い女性”とアピールして議論をすり替えています。町議は町長の仕事をチェックする立場ですから弱くなんかありませんよ。

 それと、女性町議はゼロになりましたが、男性だけの町議会にしたいわけではありません。むしろ女性目線を町政に取り入れたいので新しい女性町議の誕生を心待ちにしています」

 一方、新井氏もまた憤りを隠さずに言う。

「ウソをついているのは町長のほうです。町長は私が刑事告発しないと決めつけていますが、どのタイミングで訴えるのがいいか常に考えています。ただ、反撃するのは負担が大きいのも事実。町長と違って裁判慣れしていないため、係争中の裁判などで手一杯なところがあるんです。

 今回のリコール成立で、ほかに町長から性被害を受けた女性は余計に声を上げづらくなるかもしれません。でも、私は裁判で真実を明らかにしていきます。議席は失いましたが、町議会を傍聴し、議会をチェックして町民のための政治活動を続けていきます。理不尽なことには声を上げ、闘っていきます」

 騒動はまだまだ続きそうだ。

◎取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)

〈PROFILE〉法曹界の専門紙「法律新聞」記者を経て、夕刊紙「内外タイムス」報道部で事件、政治、行政、流行などを取材。2010年2月より「週刊女性」で社会分野担当記者として取材・執筆する