“売れたい”という気持ちが強く

「二宮さんは休憩中によくマンガの話をしていました。特に、水島新司さんの『ドカベン』が大好きで、周りのスタッフやほかのメンバーにおもしろさを熱弁することも。一方、櫻井さんは学校の試験が近いときに参考書を持ち込んで勉強をしたり、ほかのメンバーがマンガを読んでいる中、海外のニュースが載っている雑誌『ニューズウィーク』をチェックしていました」(Bさん)

 5人の小食ぶりに驚かされたことも。

撮影が夕食の時間帯と重なったときにピザを頼んだのですが、みんな育ちざかりなので1人丸ごと1枚くらい必要かと思ったら、マネージャーの方に5人で2枚でいいと言われました。彼らはかなり食が細かったと思います」(Bさん)

 昔から仲のよかった嵐だが、5人と接することが多かったライターのCさんは、当初、松本とほかの4人の間に距離を感じていた。

「松本さんは最初から“売れたい”という気持ちが強く、ほかの4人は彼についていけていない印象でした。彼が嫌われていたわけではないのですが、仕事に対する気持ちに温度差があった。そのせいか、松本さんは自分の思い通りにいかず、イライラしていることが多かったです」

 松本はどんな仕事にもストイックに取り組んでいた。

「ファンクラブの会報で、ファンからの相談に対して、松本さんが文面で答える企画があったんです。そこまで厳密ではないのですが、回答には文字数の制限がありました。彼は横書きのレポート用紙に書いてきたのですが、よく見ると定規で縦に線を引いて、マスを作ってきちんと文字数に収まるように書いてきたんです。すごく几帳面だなと驚きましたね。仕事に対してもまじめで、私が“こういうことをしたらおもしろいですよね?”と聞くと、“それ、(事務所に)ちゃんと許可取ったんですか?”と確認してきたりして(笑)」(Cさん)

 当時から一致団結したときの力強さには目を見張るものがあったようで、

「当時からダンスがきれいにそろっていましたね。でも、『ミュージックステーション』に出演したときは、自分たちの出番が終わると、楽屋に戻ってすぐ録画を見てダメ出しをし合っていました。先導していたのは松本さんでしたね。彼は一番派手に見えますが、いまでもコンサートの演出をしていますし、実は陰で誰よりも地味なことをしているんです」(Cさん)

 芸能ジャーナリストの佐々木博之氏は、“変わらなさ”が長年愛されてきた秘訣だと指摘する。

「売れてからもデビュー前と変わらず、報道陣やファンにきちんと対応していました。デビューしてちやほやされて図に乗ってしまうタレントもいますが、嵐はそういうことはなかった。事務所が礼儀やマナーを厳しく指導していたのかもしれません。彼らが仕事先の人たちから愛されるのは、そういう人間性が知られているからだと思います」

 ちょっぴりシャイでほのぼのとした5人は、スターへの階段を駆け上がっていった――。