自分もこういう人間になりたいと思った

 6位には、SFロマンの傑作である『銀河鉄道999』(1978年〜)、続いて7位は、長編野球漫画として知られている『ドカベン』(1976年〜)。悪役覆面レスラーが正統派レスラーに転身して悪役レスラー養成組織「虎の穴」と戦う『タイガーマスク』(1969年〜)が8位にランクイン。以下『北斗の拳』(1984年〜)、『デビルマン』(1972年〜)、『バビル2世』(1973年〜)と続く。

●6位「銀河鉄道999」

「姉と一緒に欠かさず見ていた。アニメと一緒に成長してきたんだと思う。メーテルはずっと理想の女性だ」(59歳・埼玉県)

「松本零士作品はいろんなことを考えさせるので良い。今見たら、どんなことを感じるのだろう」(56歳・山梨県)

 テレビ版の放送中に公開された劇場版『銀河鉄道999』(1作目、1979年)は、大胆にも主人公・鉄郎の年齢が10歳から15歳に変更され、少年の旅立ちから物語の結末までをテレビアニメと原作漫画に先駆けて描き切った昭和アニメ史に残る大傑作だ。

●7位『ドカベン』

「大好きで熱中した野球漫画。明訓高校の自称天才・岩城、秘打男・殿馬、小さな巨人・里中など、個性的選手が魅力的だった」(55歳・茨城県)

「自分の青春と重なる。もう一度見て、青春時代に戻りたい」(57歳・大阪府)

 実は、原作の連載初期は柔道漫画だった。アニメでは人気の野球編を早く描くため柔道編は短縮されたという。

●8位『タイガーマスク』

「恵まれない子どもたちのために命を懸ける伊達直人の姿によく泣いた」(57歳・愛知県)

「プロレスのアニメってなかなかない。筋肉マンより人間性が描かれているし、自分もこういう人間になりたいと思った」(53歳・茨城県)

『あしたのジョー』『巨人の星』と同じ、梶原一騎原作のプロレス漫画。漫画は辻なおきが担当。漫画とアニメの結末が大きく異なることでも有名。切なすぎるあのエンディングの歌は今聴いても胸を打つが、放送禁止用語の壁があり、地上波で見ることは難しい。

 続編として主人公も物語も違う『タイガーマスク二世』(1981年〜)、『タイガーマスクW』(2016年〜)がある。『タイガーマスク二世』では、新日本プロレスとのタイアップで初回放送3日後(1981年4月23日)、実際に佐山聡がタイガーマスクとしてデビューした。その衣装はアニメの二世をもとにしたデザインだった。

●同8位『北斗の拳』

「強いライバルとの戦いを見て、自分自身も強くなる努力を続ける糧にしていた」(54歳・大阪府)

「流行語になった〈お前はもう死んでいる〉を何回使っただろう。トキが絶命する〈さらばトキ! 男の涙は一度だけ!!〉のシーンをもう一度見たい」(55歳・兵庫県)

「週刊少年ジャンプ」を黄金期へと押し上げた大人気作品。その大ヒットは、後の『魁!!男塾』や『ジョジョの奇妙な冒険』など、ほかのジャンプ作品に大きな影響を与えている。もともとは「フレッシュジャンプ」に掲載された読み切りの2本だった。週刊連載される際に、映画『マッドマックス2』を彷彿(ほうふつ)とさせる、核戦争後の荒廃した近未来へと時代設定が変更されたという。リメイク作品は、テレビアニメではないが全3巻のOVAシリーズ『新・北斗の拳』(2003年〜)がある。

●10位『デビルマン』

「デビルマンは美少女の美樹に心を奪われ、裏切り者の汚名を受けてデーモン族と戦うことになる。この設定が子ども心に共感した」(58歳・神奈川県)

「独特の映像や世界観を現代の技術で見せてもらいたい。リアリティが増すと思う」(55歳・大阪府)

「僕は子どもだったので、主人公の明はかっこいいと思ったし、夢中で見ていた。また見たい」(埼玉県・57歳)

 漫画版とアニメ版は、永井豪いわく「同一の基本設定を使用して描かれた2つの作品」で、絵柄も物語もまったく違う別の作品である。アニメ版は1話完結のヒーローもの。漫画版は「週刊少年マガジン」に連載され、ホラー要素や黙示録的な要素が取り入れられたダークファンタジーで永井豪の大傑作となった。

 こちらも、テレビ版よりも原作に忠実なOVAシリーズ(1987年〜)や、Netflixで全世界で配信中の『DEVILMAN crybaby』(2018年)がある。

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 以上が10位までの作品のコメント。心に残っている名シーンをもう一度見たい、あのときの自分と今の自分では感じ方が違うのだろうか、さらに、現代の映像技術を用いたらどんな作品になるのだろうかと、さまざまな思いが伝わってくる。