ジャッキー・チェン
替え玉はまさかのアニメ

 2021年2月12日、中国の『春晩』(旧暦の大みそかに放送される、大型エンターテイメント番組。日本でいう『NHK紅白歌合戦』のようなもの)にジャッキー・チェンが出演し、複数の芸能人と合唱を披露した。

 ジャッキーは世界で最も成功したカンフースターともいえるが、以前から中国政府よりの発言が目立ち、隠し子への養育費不払いといったダメ人間ぶりから、香港や台湾では急速にイメージダウンしている。

 近年のジャッキー映画ではいちばんの魅力であるはずのアクションで精彩を欠き、日本公開が決定している最新作『急先鋒(ヴァンガード)』も、なんと中国版ゴールデンラズベリー賞(最低映画を決める祭典)といわれている「金掃箒奨(金のほうき賞)」にノミネート。あの国民的英雄がここまで堕ちたか感はぬぐえない。

 実際、現在のジャッキーに対する中国人の評価は「以前のような高難度アクションができなくなった」「年を重ねるごとに映画の質が低下した」などと手厳しい。

 '17年公開の最新作『カンフー・ヨガ』(中国・インド合作映画)は中国で17億5300万元(日本円で約285億2800万円)の興行成績を記録。ジャッキー主演映画としては最高額の興行成績を記録したものの、冒頭部分の10数分はジャッキーの実写風アニメだった。本編も人気若手俳優やインドのダンスシーンが多く、本人のアクションは大幅に減少している。

 さすがに70歳近くになったジャッキーにアクションのクオリティーを要求するのは酷であろうが……。そろそろ第一線から身を引いて監督業やプロデュース業に専念し、後進を育成してもよいころなのかも。

「上海にはジャッキー・チェンの博物館があるほどの国民的スター。映画のシーンを再現したブースがあるなど、ファン以外でも楽しめる観光名所になっています」(上海在住者)

 中国におけるジャッキーのあだ名は「兄貴」を意味する「ダイゴー(大哥)」。晩節を汚すことなく、いつまでもみんなの兄貴でいてほしいもの。