本来ならば、世界的ビッグイベントに関わることができる名誉な仕事で、芸能人ならば頼み込んででもスケジュールを空けていたはず。ところが、反対の声が多数を占める現状では、聖火ランナーはリスクを伴う仕事になってしまったのか。

 それでも「辞退しない芸能人もいると思いますと前出の佐々木氏。

“辞退できない”と言ったほうが正確でしょうか。個人の考えとしては辞退したくとも、“大人の都合”で辞められないタレントもいるかもしれません。五木さんや常盤さんのような大御所で、しかも歌手や俳優などの“専門職”を本業とする方にとっては、たとえ五輪関係を断っても今後に差し支えはないでしょう。

 ところが、中堅どころや若手のタレントさんの場合、辞退することでその後の仕事や、所属する事務所にも大きく影響する可能性も考えられるのです」

 そもそも、五輪に携わることができる背景には、個人の人気や話題性もさることながら、政府筋や東京オリンピック・パラリンピック組織委員会、または広告代理店や関係各所との良好な関係を築いてきた事務所の努力という見向きもある。

“パイプ”をつなげておきたい

 とある芸能プロダクションのマネージャーは声をひそめる。

「聖火ランナーを努めきれば、その後の五輪やパラリンピック関連、はたまた公共的な仕事がおりてくるかもしれない、おいしい仕事でもあるんですよ。これ以上のイメージダウンを避けたい運営や代理店としてはさらなる辞退者を出すことは避けたいわけで、“パイプ”をつなげておきたい事務所は、世論に反してもタレントを辞退させるわけにはいきませんよ。

 今は各事務所が様子見していると思いますが、仮に大手がこぞってタレントを引けば、その流れに乗って“辞退ドミノ”が起きかねません。でも、正直なところは“辞退する、しない”に関係なく、おのずと開催中止、延期のアナウンスがされることを今かと待つのが、タレントの価値を守る最善策だと思います」

 3月2日、組織委員会が聖火リレーのルートやタイムスケジュールを公式HP上で発表する一方で、茨城県を走る予定だった渡辺徹がやはり出演舞台との「スケジュールの都合」によって辞退することが明らかになった。現在、芸能人ランナーだけでなく一般ランナーにも辞退者が出ているというが、はたして聖火はつなげられるのだろうか。