心揺れたラスト収録、決まり文句は“天の声”

 2月末、『ちびまる子ちゃん』の卒業収録を行った。

「平常心でやろうとは思ったけどマイクの前では、そうはいかなくて心揺れながら終わりました。(収録)前日は、普通に眠れたけど、終わった日は、なかなか寝つけなかったです。ホッとしていいはずなのに、なんか眠れなかった。普段は見ない(共演)メンバーが夢に出てきましたよ。これからだんだん(いろんな感情が)わいてくるのかなと思います」

 収録後は、花束や記念品をプレゼントされ、記念撮影をしたが、涙する共演者もいた。

「(卒業収録では)ちょっとした仕掛けがあって、最後は主役のTARAKOちゃんと一緒にやりたいと思ってお願いしたら(収録で彼女は)泣いていました」

 ナレーションは、原作者さくらももこさんのご指名だった。

「そのことは、番組が始まって何年かたってから聞きました。最初は、15秒の番宣のためのナレーションだと思っていたら(後日)レギュラーです、と言われた。題名や内容すらよく知らなくて、手抜きの絵じゃない? と思うくらいでした。でもそれが、こんなに長く続くとは思わなかったです。

 特に感慨もなく普通に仕事をしていましたが、やるたびに面白いな、と感じたんです。こんなことはいままでなかったし、珍しく自分にピッタリだと思った。やりたかったのは“これだ”と楽しみになっていきました。

 情報番組でのナレーションはありましたが、アニメでは珍しかったこともあると思います」

 そうしたなかで決まり文句“後半へつづく!”が生まれた。

番組が好きで入り込んでいたら、自然に出てきた。天の声が僕にしゃべらせたようなつぶやきだったと思う。見ている人へのメッセージ“後半に続くよ”というね。ももこさんが台本に書いてくれたときはうれしかったね。

 地方に行ったときには“まる子”のナレーションをやっている人だとわかると、子どもも大人も関係なく必ず“後半へつづく!”をリクエストされました」