国内ドラマのトップクラスの予算を使い、重厚な物語を1年間かけてじっくりと作り上げる大河ドラマ。振り返れば、大河の主役を務め上げたジャニーズ俳優も多数いる。『琉球の風』(1993年)では東山紀之、『新選組!』(2004年)で香取慎吾、『義経』(2005年)では滝沢秀明、『軍師官兵衛』(2014年)では岡田准一─。

 また、“元”ジャニーズだが、現在放送されている『青天を衝く』で徳川慶喜を演じている草ばぎ剛は、「目の演技がすごい」「怒り、泣きの演技が秀逸」など視聴者から絶賛の声が上がっている。彼は今年の『第44回日本アカデミー賞』で、最優秀主演男優賞も獲得。演技の実力はお墨付きなのだ。

 そして2023年、『どうする家康』で主演を務めるのが松本潤。初出演で主役の座に抜擢された。この作品のチーフプロデューサーの磯智明さんは松本に求めたものを、

「華やかさと明るさです」

 と、今までのイメージとは違う新しい家康像を期待していると語る。

「幼少期から“人質”という非常にシビアな状況におかれながらも、そこを生き抜いていかなければならないわけです。信長、秀吉、家康と並べるといちばん地味なイメージをどう変えるか、という部分が今回は大きい。

 どれだけ追い詰められた場面でも明るいキャラで、そんな殿を周りがなんとかして助けなければ、と思わせるような魅力的な人物であることが大きな条件。それを全部満たしてくれるのが、松本さんでした」

 磯さんは、これまでにもジャニーズの俳優を何人かキャスティングしてきた。『平清盛』(2012年)で平時忠役でキャスティングした森田剛は、大河で主演作こそないが、『八代将軍吉宗』(1995年)『毛利元就』(1997年)にも出演している。

 森田といえば、今年の11月1日に、V6の解散とともに事務所を退所することを発表した。舞台俳優として演出家の蜷川幸雄からも認められた彼は俳優としての活動に専念したいのだという。

俳優・森田剛の魅力とは

 これまでの“居場所”を離れ、俳優一本で生きていこうとするジャニーズのアイドルは、これからも出てくるのかもしれない。そんな、俳優として活躍している、ジャニーズアイドルたちの魅力を磯さんに聞いてみると、

「やはり人を惹きつける能力が抜群です。若いころから大勢の中で揉まれながら勝ち残ってきた人たちですから、群像の中でも必ず目がいくような芝居をされるんです」

 アイドルとしての経験が、現場での適応力にもつながっているのだという。

ここ一番で最高のパフォーマンスをすべて出してみせるというような集中力はほかの役者さんとはちょっと違うというか、すごく鍛えられているという気がします。

 やはり、大勢の人を相手に自分がセンターでやらなくてはいけないという重圧の中で、決め所を絶対にはずさない彼らの集中力は素晴らしいですね」

 そして俳優として撮影現場に臨む、彼らの姿勢についてこう語る。

「第一線で長い間活躍し続けるには、何が自身に求められているのか、現場では何が必要かを理解して、それに応えようとしている。制作サイドが何を期待しているかを、常に考えながらお芝居していると思います」

 大河で主演したジャニーズの俳優の中で、特に演技に対しての思いが強いといわれているのが、岡田准一。2015年の『第38回 日本アカデミー賞』では『永遠の0』で最優秀主演男優賞、『蜩の記』で最優秀助演男優賞のW受賞という快挙を果たしている。V6解散後は、事務所に残って演技の仕事に力を入れるとみられている。

 そんな彼に惚れ込んだひとりが、映画界の大御所・木村大作監督。木村監督が語る、撮影現場で岡田が見せた“俳優魂”とは─。