かなり自己中心的

 もちろん「自分はやらない」といった声も多かったものの、当事者たちによる言い訳は、かなり自己中心的!

「これらの意見には認知的不協和という理論が当てはまります。何らかの欲望と抑制のなかで矛盾が起こったときに、それっぽい言い訳で正当化し、望ましくない行動に舵を切ってしまうのは典型的なケース。

 自分を優先して他人に不快感を与えるのは、社会的迷惑行為の定義そのもの」

 とはいえ、女性たちの怒りの声はまだまだ収まらない。実際、身のまわりに被害が出ているのだ。

犬の散歩をしていたら、オジサンが吐いたタンに愛犬が近づいてなめてしまい、腹が立った」(53歳・女性・パート)

「子どもが小さいころ、歩きタバコの男性とすれ違った。直前でタバコに気づいて避けたが、タバコの火がちょうど子どもの目の高さで避けなかったらと思うとゾッとした」(49歳・女性・専業主婦)

 こういった迷惑行為に解決策はあるのだろうか。

迷惑行為はオジサンに限った行動ではないのは大前提なのですが、社会的迷惑行為を解決するのは難しいんです。実は注意しても変わらないという研究結果もあるため、いまは静観しつつ、仕方ないではすまない機運を高めることも大事ですね

 困ったオジサンたちとの戦いは、まだまだ続きそうだ。

上の困ったオジサン遭遇録、こんな珍種も!

●誰か止めて! チャリンコ暴走オジサン
「チリンチリンをやたら鳴らしてくる」(36歳・女性・専業主婦)、「自転車のオジサンを避けたら、同じ方向によけてきて罵声を浴びせられた」(50歳・女性・パート)と、自転車マナーにも苦情が。

●ブッサイク! すれ違いざまに点数つけられた
「派手な格好をしているといちゃもんをつけてくる」(30歳・女性・会社員)、「すれ違いざまに“ブッサイクやなぁ”と言われた」(58歳・女性・建設業経営)など、街中で人の外見を採点する無礼者も!

●何人たりともここは通さぬ! 弁慶オジサン
「歩道ですれ違うとき、端によけようとせず、真ん中を堂々と歩き幅をとる。自分がよけるという概念がない」(46歳・女性・会社員)という意見も多く、わが物顔で闊歩するオジサンは日本中に生息。


お話を伺ったのは……
塚越友子さん●公認心理師、臨床心理士、産業カウンセラー。2008年に東京中央カウンセリングを開業。個人カウンセリングを行うほか、自殺予防や家族心理学、産業心理学、コミュニケーション論などの知見を生かし、メディアなどでも多数活躍。

(取材・文/吉信 武)